第106回 看護師国家試験 午前 問96 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。下肢は長下肢ギプスから膝蓋腱支持ギプスに変更され、左上肢は義肢が装着されて自宅へ退院することになった。 Aさんに対する退院指導で適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 義肢を装着して行う動作訓練を、計画的に進めるよう指導する。

左前腕は義肢、左下肢は膝蓋腱支持ギプスになり、自宅へ戻る段階である。退院指導の中心は、残った力を使って生活を組み立て直すことにある。 義肢は着ければすぐ使えるものではない。着ける時間を少しずつ延ばし、日常の動作を繰り返して身につけるので、計画的な動作訓練を続けるよう伝える。

他の選択肢は生活を狭める向きに働く。外出を控えると筋力も人とのつながりも落ちるので、むしろ外出を勧める。 断端に意識を集中しないよう説明するのは逆で、自分で断端を見て手入れできることが義肢を使い続ける条件になる。 受傷前と同じ日常生活動作(ADL)を目標にすると届かずに自信を失うので、いまの体でできる方法を一つずつ増やす目標を立てる。

  • 1

    外出を控えるように指導する。不正解

    外出は筋力の維持と社会参加のために勧める。義肢や杖での移動に慣れる練習にもなる。

  • 2

    左前腕部に意識を集中しないように説明する。不正解

    幻肢痛には断端をさすって刺激に慣らす方法がとられ、断端から意識を遠ざける指導は逆に働く。断端は毎日洗って傷や発赤を自分で確かめる場所でもある。

  • 3

    義肢を装着して動作訓練を計画的に進めるよう指導する。正解

    義肢は着ける時間を少しずつ延ばし、動作を繰り返して覚えていく。計画を立てて段階的に進める。

  • 4

    受傷前と同じ日常生活動作〈ADL〉ができることを目標に指導する。不正解

    受傷前と同じ動作をそのまま目標にすると届かない。残った機能と義肢で行える方法を身につける目標に置き換える。

📚 ここも一緒におさえておこう

切断後の退院指導は、義肢を使えるようにする訓練と、断端を守る日々の手入れの2本立てで問われる。どちらが欠けても義肢は使えなくなる、と覚えよう。

  • 断端の観察は鏡を使うと見落としが減る。水疱や擦り傷があるときは義肢の装着を控えて相談する。
  • 断端の太さは日によって変わる。ソケットがゆるいときは断端袋を重ねて調整し、痛むときは無理に着け続けない。
  • 膝蓋腱支持ギプスは膝の下の腱で体重を受け、足首を固定したまま歩けるようにする。荷重のかけ方は医師の指示に従う。

参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 運動器・整形外科』/リハビリテーション看護の標準テキスト(義肢と断端管理)

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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