第105回 看護師国家試験 午後 問51 解説
📝 問題
Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 臨死期に起こる体の変化をあらかじめ伝えておくことが最も適切である。
自宅での看取りでは、そばにいるのが家族だけという時間が長くなる。下顎呼吸や手足の冷たさ、尿量の減少といった臨死期の変化を知らないまま迎えると、家族は苦しませているのではないかと慌ててしまう。 そこで、これから起こる体の変化と、そのときの対応、連絡先をあらかじめ伝えておく。先に知っていることが、そのまま家族の安心につながる。
残りの3つは向きが合わない。迷う気持ちを止めようとすること、死別後の支援を今すすめること、思い出を語らせないことは、いずれもAさんが自分のペースで気持ちを整えるのを妨げる。
下顎呼吸とは
あごを上下に動かして息をする呼吸。亡くなる直前にみられる。
グリーフケアとは
大切な人を亡くした人の悲しみに寄り添い、暮らしを立て直せるよう支える関わり。
- 1
臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。正解
呼吸の変化や手足の冷えが自然な経過だと先に知っていれば、その場で慌てずにすむ。看取りをやり遂げる支えになる。
- 2
自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。不正解
看取りの意思は揺れるのが自然である。揺らいだときに何度でも話し合える関係をつくり、入院という選択も残しておくほうがAさんは決めやすい。
- 3
配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。不正解
配偶者を亡くした家族の会は、死別後の悲しみを支えるグリーフケアの場である。介護のただ中にいる今より、看取りを終えたあとに紹介する。
- 4
夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。不正解
思い出を語ることは、これまでの関係を振り返って気持ちを整理する助けになる。話題を避けるのではなく、Aさんが語りたいときに耳を傾ける。
📚 国試でよく狙われるところ
在宅での看取りは、家族に何をいつ伝えるかが問われる。時期と伝える中身を対にして覚えよう。
- 亡くなる数日前から眠っている時間が増え、食事や水分がとれなくなる。無理にすすめず、口の中を潤す。
- 亡くなる数時間前には、下顎呼吸やチアノーゼ(口唇や爪の青紫色)、皮膚のまだら模様が現れる。
- 息が止まったあとに救急車を呼ぶ必要はなく、まず訪問看護師や主治医へ連絡することを、前もって決めて紙に書いておく。
参考: 系統看護学講座 老年看護学/標準的な緩和ケア・在宅看護学(臨死期のケアと家族支援)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について