第105回 看護師国家試験 午後 問101 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。 入院当日、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。投与開始直後からAさんが輸液ラインを指し「虫がいる」と大きな声を上げている。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 見間違いのもとになっている輸液ラインを、Aさんから見えないようにする。
レビー小体型認知症では、実際にはないものがありありと見える幻視や、物を別のものに見間違える錯視が起こりやすい。 Aさんは輸液ラインを虫と見間違えている。
見間違いのもとを視界から外せば、訴えは自然におさまる。 輸液ラインを寝衣の下に通す、掛け物で隠すといった環境の調整で、治療を続けながら不安を減らせる。
残る3つは、Aさんの困りごとを解いていない。 本人にははっきり見えているので、いないと説明されても納得できず、不信につながる。 点滴は細菌性肺炎の治療に必要で、中止する理由がない。 ナースステーションへの移動は環境が変わってかえって混乱し、ラインが見えることも変わらない。
錯視とは
実際にある物を、別の物に見間違えること。ひもを蛇、輸液ラインを虫と見るなど、暗い場所や模様のある物で起こりやすい。
- 1
虫がいないことを説明する。不正解
Aさんには本当に見えているので、否定されると理解されていないと感じ、訴えが強まる。まず驚きや不安の気持ちを受けとめる。
- 2
点滴静脈内注射を中止する。不正解
抗菌薬の点滴は細菌性肺炎の治療そのもので、中止すれば回復が遅れる。訴えの原因は薬ではなく、ラインの見え方にある。
- 3
Aさんをナースステーションに移動する。不正解
慣れない場所へ移すと、かえって混乱が強まる。ラインが見える状態も変わらないため、訴えの解決にならない。
- 4
輸液ラインをAさんから見えない状態にする。正解
見間違いのもとを視界から外せば、治療を続けたまま訴えを減らせる。寝衣の袖に通す、掛け物で覆うといった工夫で対応できる。
📚 国試でよく狙われるところ
レビー小体型認知症は、他の認知症との違いが並べて問われる。「幻視・パーキンソン症状・変動」の3つで見分けよう。
- 具体的な幻視=人や小動物、虫がはっきり見える。本人には本当に見えている
- パーキンソン症状=小刻み歩行、すり足、前かがみ、動作が遅くなる。転倒しやすい
- 認知機能の変動=はっきりしている時間とぼんやりする時間が入れ替わる
- 抗精神病薬に過敏で、少量でも動きにくさや強い眠気が出る。薬に頼らず環境を整えるのが先になる
参考: 系統看護学講座 老年看護学/医療情報科学研究所編『病気がみえる 脳・神経』
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について