第105回 看護師国家試験 午前 問75 解説
📝 問題
Aちゃん(3歳、女児)は、病室で朝食を食べていた。そこに、医師が訪室して採血を行いたいと話したところ、Aちゃんは何も答えず下を向いて泣き始めた。その様子を見ていた看護師は、Aちゃんは朝食を中断して採血されるのは嫌だと思っているようなので、朝食後に採血して欲しいと医師に話した。この看護師の対応の根拠となる概念はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 言葉にできない子どもの思いを看護師が代わりに伝えたこの対応は、アドボカシーにあたる。
アドボカシー(権利擁護)は、自分の思いを言葉にしにくい人に代わって、その人の希望や権利を伝え、守ることをいう。
3歳のAちゃんは「朝食を中断したくない」と言葉では言えず、泣くという形で気持ちを表している。看護師はそれを読み取り、本人に代わって医師に伝えた。子どもの立場に立って代弁するこの行いがアドボカシーである。
他の4つは別の考え方である。 アセントは、説明を受けた子ども本人が示す賛意のことである。コンセントは説明を受けたうえでの同意で、子どもの場合は保護者から得る。ノーマライゼーションは誰もが地域で当たり前に暮らせる社会をつくろうという考え方、ノンコンプライアンスは指示された治療が守られていない状態を指す。
- 1
アセント不正解
アセントは、判断がまだ十分にできない子どもに分かる言葉で説明し、本人から得る賛意である。本人の口から意思を確かめる場面で使う。
- 2
コンセント不正解
コンセントは、説明を受けて理解したうえでの同意をいう。子どもの場合は保護者から得る。
- 3
アドボカシー正解
泣くという形でしか表せない気持ちを読み取り、本人に代わって医師に伝えている。子どもの権利を守るこの代弁がアドボカシーである。
- 4
ノーマライゼーション不正解
ノーマライゼーションは、障害の有無にかかわらず同じように暮らせる社会をめざす考え方である。
- 5
ノンコンプライアンス不正解
ノンコンプライアンスは、指示された治療や服薬が守られていない状態を指す。
📚 ここも一緒におさえておこう
子どもの意思をめぐる用語は、「誰が言うか」を入れ替えて問われる。「本人が言う=アセント」「代わりに言う=アドボカシー」と対にして覚えよう。
- 子どもへの説明と同意は、保護者から得るインフォームド・コンセントと、本人から得るアセントの2段構えで行う
- アセントを得るのはおおむね7歳ごろからが目安とされ、年齢と理解の程度に合わせて説明の仕方を変える
- 処置の前に絵や人形で見通しを伝えるプレパレーションは、子どもが自分で気持ちを言えるよう支える方法である
参考: 日本看護協会「看護職の倫理綱領」/標準的な小児看護学(子どもの権利とアドボカシー)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について