第105回 看護師国家試験 午前 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。6か月後、Aさんは呼吸障害と嚥下障害とが進行し、気管切開による人工呼吸療法を開始するために入院した。 退院に向けて病棟看護師が行う家族への気管内吸引の説明として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 就寝前に体位ドレナージを行うと説明するのが最も適切である。
気管内吸引で取れるのは、太い気道まで上がってきた痰だけである。奥にたまった痰を出すには、痰のある部位を上にする体位ドレナージで中枢へ移動させ、そのうえで吸引する。
就寝前に行えば、夜のあいだにたまる痰が減り、家族が夜中に起きて吸引する回数も少なくなる。
残る3つは、患者を傷つける方向にある。 時間を決めた吸引は、必要のないときにも粘膜を刺激して睡眠を妨げる。痰がたまると気道内圧はむしろ上がるので、低下を合図にすると吸引が遅れる。カフ圧を上げれば気管の粘膜の血流が妨げられる。
カフ圧とは
気管カニューレの先についた風船(カフ)をふくらませる圧。気管とのすき間をふさぎ、空気が漏れたり唾液が流れ込んだりするのを防ぐ。
- 1
夜間に定期的な吸引を行う。不正解
吸引は、痰の音や呼吸の苦しさを確かめてから行う。時間を決めて行うと、必要のないときにも粘膜を刺激し、睡眠を妨げる。
- 2
就寝前に体位ドレナージを行う。正解
体位ドレナージで奥の痰を中枢へ移してから吸引すると、少ない回数で楽に取れる。就寝前に行えば夜間の吸引が減る。
- 3
気道内圧が低下したら吸引する。不正解
逆。痰がたまると空気の通り道が狭くなり、気道内圧は上昇する。上がったときが吸引の合図になる。
- 4
吸引時は気管カニューレのカフ圧を上げる。不正解
カフ圧は20〜30cmH2Oに保つ。上げると気管の粘膜の血流が妨げられ、粘膜が傷つく。
📚 国試でよく狙われるところ
在宅の気管内吸引は「いつ行うか」で問われる。時計ではなく、痰がたまったサインで行うと覚えよう。
- 吸引が必要なサインは、ゴロゴロという音・苦しそうな呼吸・酸素の値の低下・気道内圧の上昇
- 1回の吸引は短時間で終え、続けるときは呼吸を整える時間をおく。長く引くと低酸素になる
- カテーテルは深く入れすぎず、入れていくときは吸引をかけない。粘膜を傷つけないための基本になる
参考: 日本呼吸療法医学会 気管吸引ガイドライン/在宅看護論テキスト(在宅人工呼吸療法)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について