第104回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
前頭葉の障害に伴う症状で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・3
💡 解説
✅ 前頭葉の障害では人格の変化と自発性の低下が起こる。
前頭葉は、考えをまとめて計画を立て、その人らしいふるまいを保つ場所である。 ここが障害されると、怒りっぽくなる、身なりに構わなくなるといった人格の変化が起こり、自分から何かを始めようとしない自発性の低下がみられる。 場面に合わせて行動を抑える力が落ちる脱抑制も、前頭葉の障害を示す症状である。
ほかの選択肢は、別の場所の障害で起こる。 聞いた言葉の意味が分からなくなる感覚性失語は側頭葉、体の平衡を保てなくなるのは小脳や前庭、左右の区別がつかなくなるのは頭頂葉の障害である。
脱抑制とは
場面やきまりに合わせて行動を抑える力が落ち、思いついたまま口にしたり手を出したりする状態。
- 1
人格の変化正解
怒りっぽくなる、身なりに構わなくなるなど、その人らしさが変わる。周囲が最初に気づく変化になりやすい。
- 2
感覚性失語不正解
感覚性失語は聞いた言葉の意味が分からなくなるもので、側頭葉の障害で起こる。前頭葉の障害で起こるのは、言いたいことが言葉にならない運動性失語である。
- 3
自発性の欠乏正解
自分から動き出せず、話しかけられなければ一日中じっとしているといった状態になる。
- 4
平衡機能障害不正解
体の平衡を保つのは小脳と前庭のはたらきで、障害されるとふらついて立っていられなくなる。
- 5
左右識別障害不正解
左右の区別がつかなくなるのは頭頂葉の障害で、指を呼び分けられない、計算ができない、字が書けないといった症状と一緒に現れる。
📚 混同しやすいので注意
大脳の障害は、症状と場所を入れ替えて問われる。「どこが壊れると何ができなくなるか」を対にして覚えよう。
| 部位 | 主なはたらき | 障害されると |
|---|---|---|
| 前頭葉 | 運動、意欲、判断、その人らしいふるまい、話す言葉をつくる | 人格の変化、自発性の低下、脱抑制、運動性失語(Broca〈ブローカ〉失語) |
| 頭頂葉 | 触覚や痛覚などの感覚、空間の把握 | 感覚障害、半側空間無視、左右識別障害(Gerstmann〈ゲルストマン〉症候群) |
| 側頭葉 | 聞く、言葉の意味の理解、記憶 | 感覚性失語(Wernicke〈ウェルニッケ〉失語)、記憶障害 |
| 後頭葉 | 見る | 視野が欠ける、見えていても何か分からない(視覚失認) |
参考: 解剖生理学(大脳の機能局在)の教科書
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について