第104回 看護師国家試験 午後 問31 解説
📝 問題
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症には、症状の出ないまま数年から10年続く無症候期がある。
HIVは、免疫の司令塔であるCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)に入り込み、これを少しずつ壊していくウイルスである。 感染してから体調をくずすまでには長い時間がかかる。
経過は3段階に分かれる。 ・急性期=感染から数週間、発熱やのどの痛みなど風邪に似た症状が出る ・無症候期=症状のないまま数年〜10年続く。この間もウイルスは増え、CD4陽性T細胞は減っていく ・後天性免疫不全症候群(AIDS)期=免疫が働かなくなり、日和見感染や悪性腫瘍が現れる
他の選択肢は、感染経路とウイルスの性質を取り違えている。うつるのは血液や体液が体内に入る経路に限られ、遺伝情報はDNAではなくRNAでもつ。取りつく相手もB細胞ではなくCD4陽性T細胞である。
日和見感染とは
健康なときは病気を起こさない弱い病原体が、免疫が落ちたときに引き起こす感染。ニューモシスチス肺炎やカンジダ症が代表である。
- 1
経皮感染する。不正解
HIVがうつるのは血液や体液が体内に直接入ったときで、傷のない皮膚からは入り込めない。針刺し事故が代表的な場面である。
- 2
無症候期がある。正解
急性期のあと、症状のないまま数年から10年続く無症候期がある。この間もCD4陽性T細胞は減り続ける。
- 3
DNAウイルスによる。不正解
HIVは遺伝情報をRNAでもち、逆転写酵素でDNAに変えて宿主の細胞に組み込むレトロウイルスである。
- 4
血液中のB細胞に感染する。不正解
HIVが取りつくのはCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)で、抗体をつくるB細胞は直接の標的ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
HIV感染症は、うつる経路・免疫の指標・治療の進歩がまとめて問われる。「どうやってうつるか」「どこまで免疫が落ちたか」を軸に整理しよう。
- 感染経路は性的接触・血液・母子感染の3つ。握手・食器の共用・入浴・蚊の刺し傷ではうつらない。
- 免疫の状態はCD4陽性T細胞数で評価し、200/μL未満になると日和見感染が起こりやすくなる。
- 現在は複数の抗HIV薬を組み合わせる治療が確立し、飲み続けてウイルスを抑えられれば、AIDSを発症せずに過ごせるようになった。
参考: 厚生労働省 エイズ動向委員会報告/感染症法
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について