第104回 看護師国家試験 午後 問115 解説

状況設定在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(35歳、男性、建設業)は、両親と3人で暮らしている。3年前の仕事中に屋根から転落して、第12胸髄を損傷した。1か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週1回の訪問看護を利用している。 訪問時、仙骨部に軽度の発赤を認めた。 褥瘡悪化予防のためにAさんに勧める内容で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 作業の合間にプッシュアップ動作を取り入れ、圧のかかる部位を定期的に除くのが最も適切である。

第12胸髄の損傷では、下半身の感覚が失われている。長く座って仙骨部や坐骨結節に圧が集中しても、痛みやしびれで姿勢を変える合図が届かない。Aさんは作業中ほとんど車椅子に座っており、仙骨部の発赤はその圧迫が続いたしるしである。

上肢の力は保たれているので、肘かけや座面に手をついて腰を浮かせるプッシュアップを作業の合間に入れられる。数十秒でも体重を浮かせれば血流が戻り、褥瘡への進行を止められる。

残る3つは、かえって悪化させたり、Aさんの生活に合わなかったりする。 発赤のある部位のマッサージは、皮膚と皮下の組織をこすって傷めるため行わない。 リクライニング式の車椅子は背もたれを倒すと体が前へずり落ち、仙骨部にずれの力が加わる。 車椅子で座るときは股関節・膝関節・足関節を90度に保つのが基本で、60度では骨盤が後ろへ倒れて仙骨部に体重が集中する。

プッシュアップとは

車椅子の座面や肘かけに手をついて体を持ち上げ、殿部を座面から浮かせる動作。同じ場所に圧がかかり続けるのを防ぐ。

坐骨結節とは

いすに座ったときに座面に当たる、骨盤のいちばん下の出っぱり。座位ではここに体重が集中する。

  • 1

    仙骨部のマッサージを行う。不正解

    発赤のある部位をこすると、皮膚と皮下の組織をさらに傷めて褥瘡を深くする。骨の出っぱりの上はマッサージしない。

  • 2

    リクライニング式の車椅子を利用する。不正解

    背もたれを倒すと体が前へずり落ち、仙骨部にずれの力が加わる。作業を続けながらの除圧にもならない。

  • 3

    作業中にプッシュアップ動作を取り入れる。正解

    上肢の力で腰を浮かせ、坐骨結節や仙骨部にかかる圧を自分で取り除ける。作業を続けながらできる方法である。

  • 4

    座るときは膝関節と股関節を60度に曲げる。不正解

    車椅子では股関節・膝関節・足関節を90度に保つのが基本。60度では骨盤が後ろへ倒れ、仙骨部に体重が集中する。

📚 国試でよく狙われるところ

褥瘡は、姿勢ごとに圧がかかる部位を入れ替えて問われる。姿勢と骨の出っぱりを対にして覚えよう。

  • 仰臥位=仙骨部が最も多い。ほかに後頭部・肩甲骨部・踵部
  • 側臥位=大転子部。ほかに耳介・肩峰部・腸骨部・外果
  • 座位=坐骨結節部。車椅子では15分を目安に腰を浮かせて圧を除く

参考: 日本褥瘡学会 褥瘡予防・管理ガイドライン/系統看護学講座 在宅看護論

出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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