第104回 看護師国家試験 午後 問110 解説

状況設定精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病と診断された。 入院後1か月。Aさんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は3分の2を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。 この時点の認知療法で修正するのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 認知療法では、自分は役に立たない人間だという否定的な考え方を修正する。

認知療法は、出来事をどう受け取るかという考え方のくせに目を向け、現実に合った受け取り方へ変えていく治療である。うつ病では、自分・周囲・将来を否定的にとらえるくせが強まる。

Aさんの「私は役に立たない人間です」という発言は、自分を否定する考えそのものである。食事も睡眠もとれるようになり、自分の考えを言葉にして振り返れる時期に入ったので、いま取り組む対象になる。

残る3つは、認知療法が扱うものではない。 内向的であることは性格で、変えるべき欠点ではない。 意欲の低下は、薬物療法と休息によって回復してくる症状である。 親子関係のような家族のつながりを扱うのは家族療法である。

  • 1

    内向的な性格不正解

    性格は治療で変えるものではない。認知療法が向き合うのは性格そのものではなく、出来事の受け取り方である。

  • 2

    低下した意欲不正解

    意欲の低下はうつ病の症状で、休息と薬物療法によって戻ってくる。認知療法が直接働きかける対象ではない。

  • 3

    Aさんと息子との親子関係不正解

    家族の関係やコミュニケーションを扱うのは家族療法。Aさんの発言は息子との関係ではなく、自分自身の評価に向いている。

  • 4

    自分は役に立たない人間だという考え方正解

    「役に立たない人間だ」という自分への決めつけが、認知療法で見直す対象になる。実際の出来事と照らし合わせ、別の受け取り方を一緒に探していく。

📚 混同しやすいので注意

精神療法は、名前と何を扱うかを入れ替えて問われる。扱う対象を1組にして覚えよう。

  • 認知行動療法=出来事の受け取り方と、そこから起こる行動を扱う。認知療法はその一部にあたる
  • 家族療法=家族をひとつのまとまりとしてとらえ、家族どうしの関係を扱う
  • 精神分析療法=本人が気づいていない過去の体験や葛藤を扱う
  • 作業療法=作業や活動を通して、生活する力を取り戻す

参考: 系統看護学講座 精神看護学/日本うつ病学会 うつ病治療ガイドライン

出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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