第104回 看護師国家試験 午前 問98 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(72歳、男性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。家族や親戚はいない。15年前から心不全のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を週に2回利用している。早朝、Aさんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4℃、呼吸数20/分、脈拍98/分、血圧100/70mmHgであった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。外来で点滴静脈内注射が開始され、入院した。夕方からAさんの表情に落ち着きがない様子や看護師の説明を聞かない様子がみられた。夜間から朝までぶつぶつと独り言を話していた。 Aさんの看護で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 日中に車椅子での散歩を介助し、昼と夜のリズムを整えるのが最も適切である。

Aさんは夕方から落ち着きがなくなり、夜通し独り言を話している。脱水と入院という環境の変化が重なって起きたせん妄である。 せん妄への手当ては、薬より先に生活の立て直しから始める。 日中に体を起こして外の光を浴び、体を動かすと昼と夜の区別がつきやすくなり、夜間の不穏が減っていく。

残る3つは、かえってせん妄を強める。夜に照明をすべて消すと暗さの中で自分の居場所が分からなくなる。せん妄のあいだは説明を覚えていられない。睡眠導入薬はせん妄を悪化させることがある。

  • 1

    夜間の病室内の照明を消す。不正解

    真っ暗にすると、いま自分がどこにいるのか分からなくなり、不安や錯覚が強まる。足元灯など、ぼんやり見える程度の明かりを残す。

  • 2

    日中に車椅子での散歩を介助する。正解

    日中に体を起こして動くと昼と夜の区別がつき、夜間の不穏が減る。せん妄ではまず生活のリズムを整える。

  • 3

    Aさんに点滴を抜かないように説明する。不正解

    せん妄のあいだは注意が続かず、説明を覚えていられない。言葉で禁じるより、点滴の管を衣服の下に通すなど環境を整える。

  • 4

    夜間は睡眠導入薬の処方を医師に依頼する。不正解

    睡眠導入薬、とくにベンゾジアゼピン系の薬はせん妄を悪化させることがある。薬に頼る前に、日中の活動と環境の調整を行う。

📚 混同しやすいので注意

せん妄と認知症は、始まり方と経過で見分ける。国試ではこの2つを入れ替えて問われるので、表ごと覚えよう。

せん妄と認知症の違い
項目せん妄認知症
発症急に(数時間〜数日)ゆるやかに(数か月〜数年)
経過日内変動があり、夜間に悪化しやすいゆっくり進む
意識混濁する保たれる
原因と見通し脱水・感染・薬など取り除ける原因が多く、改善が見込める脳そのものの変化で、もとには戻らない

参考: 系統看護学講座 老年看護学/日本老年医学会「高齢者に対する適切な医療提供の指針」

出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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