第104回 看護師国家試験 午前 問67 解説
📝 問題
Aさんの母親は過干渉で、Aさんが反論すると厳しい口調でいつまでもAさんを批判し続けるため、Aさんは母親との関係に悩んできた。その母親と同年代で体格が似ている担当看護師に対し、Aさんは常に反抗的な態度をとり、強い拒絶を示している。Aさんにみられるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ Aさんが担当看護師に向けているのは陰性転移である。
転移は、患者が過去の大切な人物に向けていた感情を、目の前の治療者に移して向けることをいう。 Aさんは母親との関係に長く悩んでおり、その母親と同年代で体格が似ている担当看護師に、母親へ向けていた反抗と拒絶をそのまま向けている。
転移のうち、敵意・不信・怒りといった否定的な感情が向くものが陰性転移、好意や信頼、依存が向くものが陽性転移である。
他の選択肢は、感情の向きや向ける人が違う。
防衛機制とは
不安や苦痛から心を守るために無意識にはたらく心のしくみ。抑圧・投影・反動形成などがある。
- 1
投影不正解
投影は、自分の中の認めがたい感情を相手が持っているとみなす防衛機制で、過去の人物との関係が持ち込まれる転移とは別である。
- 2
逆転移不正解
逆転移は治療者の側が患者へ自分の感情を向けることをいう。ここで感情を向けているのは患者本人である。
- 3
反動形成不正解
反動形成は本心と正反対の態度をとることで、憎しみを隠して過度に親切にふるまうような場合を指す。
- 4
陰性転移正解
母親に向けていた反抗や拒絶が、母親に似た看護師へそのまま向けられている。
📚 混同しやすいので注意
転移と逆転移は、言葉を入れ替えて問われる。感情を向けるのが患者か治療者かで見分けよう。
- 陽性転移=患者が治療者に好意・信頼・依存を向ける。強くなりすぎると治療の妨げになる
- 陰性転移=患者が治療者に敵意・不信・怒りを向ける
- 逆転移=治療者が患者に自分の感情を向ける。気づいて振り返り、必要なら相談する
参考: 系統看護学講座 精神看護学
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について