第104回 看護師国家試験 午前 問56 解説
📝 問題
Aさん(88歳、女性)は、中等度の認知症である。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。Aさんに入浴を勧めるとAさんは「風呂なんて嫌だ」と強い口調で言い、理由を聞いても話さない。このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 強い口調で入浴を断ったときは、いったん引いて気持ちが落ち着いてから改めて勧めるのが最も適切である。
認知症の人が強い口調で断るときに、その場で説得しても気持ちはかたくなるだけである。理由を言葉にできないだけで、寒い、恥ずかしい、裸になるのが怖いなど、本人なりの理由があることが多い。
そこでいったん引き下がり、時間をおく。しばらくしてから誘い方や声のかけ方を変えて改めて勧めると、受け入れられることがある。認知症のケアは説得より納得である。
他の選択肢は、いまの場面で選ぶものではない。全身清拭は入浴が難しいと分かってからの方法である。必要性の説明は中等度の認知症では理解が難しく、責められたと感じて拒否が強まる。石けんとタオルを見せる誘い方も、強く断っている最中では押しつけになる。
- 1
全身清拭する。不正解
全身清拭は、入浴がどうしても難しいときの代わりの方法である。まだ入浴をあきらめる場面ではない。
- 2
入浴の必要性を説明する。不正解
中等度の認知症では、理屈で必要性を説かれても納得にはつながりにくい。かえって責められたと感じ、拒否が強まる。
- 3
石けんとタオルを見せる。不正解
石けんとタオルを見せるのは、言葉より物で分かってもらう誘い方である。強く断っている最中に見せると押しつけと受け取られる。
- 4
気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。正解
時間をおくと気持ちが切り替わることが多い。誘い方を変えて改めて勧めると、入浴できることがある。
📚 ここも一緒におさえておこう
認知症の人の拒否は、困った行動ではなく理由のある反応として扱う。断られたあとの動き方を1つの流れで覚えよう。
- まずいったん引く。無理強い・叱責・説得は不安を強め、次の拒否につながる。
- 次に理由を探す。寒い、痛い、恥ずかしい、順番が分からないなど、体調や環境に原因がないかを見る。
- 時間・場所・誘う人を変えて改めて勧める。本人が選べる形で聞くと受け入れられやすい。
参考: 系統看護学講座 老年看護学(認知症看護)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について