第103回 看護師国家試験 午後 問63 解説
📝 問題
A君(15歳、男子)は、病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫に対する治療を続けていた。現在、肺に転移しており終末期にある。呼吸困難があり、鼻腔カニューラで酸素(2L/分)を投与中である。A君の食事の摂取量は徐々に減っているが、意識は清明である。1週間後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式は出席したい」と話している。 看護師のA君への対応として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 卒業式に出たいというA君の希望をかなえられるよう、出席の準備を進めると伝える。
終末期にある子どもにとって、卒業式は学校生活を締めくくる一度きりの場である。 A君は意識が清明で、自分の希望をはっきり言葉にしている。 式は1週間後にあり、酸素の準備・車椅子での移動・途中で休める場所を整える時間がある。 看護師の役割は、この希望を実現できる形にすることである。
残る3つは、A君の希望をかなえる方向に働かない。 「難しい」と伝えることは、残された時間の目標を取り上げることになる。 体力の回復を条件にすることは、終末期のA君には実現できない約束になる。 前日まで決めないままでは、必要な準備が間に合わない。
- 1
今の状態では出席は難しいと話す。不正解
本人が言葉にした希望を最初に否定することになる。院内の式であれば、酸素や車椅子を整えれば出席できる。
- 2
出席できるように準備しようと話す。正解
希望を出発点にして、酸素・移動・休憩の場を整える。準備の話をすること自体がA君の力になる。
- 3
出席を決める前に体力をつけようと話す。不正解
食事量が減っている終末期に体力を戻すことは難しい。回復を条件にすると、いつまでも出席できない。
- 4
卒業式の前日に出席するかどうか決めようと話す。不正解
決定を先送りにするだけで、酸素や移動の準備が間に合わなくなる。
📚 ここも一緒におさえておこう
小児の終末期は、「できない理由」ではなく「どうすればできるか」を選ぶ形で問われる。本人が言葉にした希望を軸に、環境を整える側を選ぼう。
- 15歳は自分の状態と希望を言葉にできる年齢で、本人の意思を治療やケアの中心に置く
- 学校生活は子どもの自分らしさを支える。院内学級や行事への参加は終末期でも大切な支えになる
- 体力が落ちても、酸素・車椅子・休憩の場・付き添いを整えれば参加できることが多い
参考: 小児看護学テキスト(終末期にある子どもと家族の看護)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について