第103回 看護師国家試験 午後 問53 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(85歳、男性)は、認知症である。Aさんは肺炎で入院し、病状が改善したため、主治医は退院を許可した。Aさんは「家に帰りたい」と繰り返し言っているが、同居していた長男夫婦は高齢者施設への入所を希望している。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 本人と家族で希望が食い違うときは、まず家族が施設入所を望む理由を確かめる。

Aさんは「家に帰りたい」と言い、長男夫婦は施設入所を望んでいる。どちらが正しいかを決める場面ではなく、なぜそう望むのかを知る場面である。 長男夫婦の側には、夜間の見守りの負担、介護する人の健康、住まいの構造など、口に出していない事情があることが多い。そこが分からないままでは調整のしようがない。

他の選択肢は、どちらか一方の側に立ってしまっている。療養の場は本人と家族が決めるもので、主治医が決めるものではない。 家族に希望の尊重を説くのは、家族の事情を聞かないまま結論を押しつけることになる。 施設の情報提供は、理由を聞き、本人の意思を確かめたあとで意味をもつ。

  • 1

    主治医に退院後の療養場所を決定してもらう。不正解

    療養の場を決めるのは本人と家族で、主治医が決めるものではない。看護師は決定を支える立場にある。

  • 2

    長男夫婦にAさんの希望を尊重するよう話す。不正解

    家族の事情を聞かないまま本人の希望を押しつけると、家族が孤立して調整が進まなくなる。

  • 3

    長男夫婦に入所が可能な高齢者施設の情報を提供する。不正解

    施設の情報は、家族が入所を望む理由と本人の意思を確かめたあとで役に立つ。

  • 4

    長男夫婦がAさんの施設への入所を希望している理由を確認する。正解

    入所を望む背景には介護の負担や住まいの事情が隠れている。まず聞き取り、双方が納得できる形を探す。

📚 まず何をするか

退院支援は「本人と家族の意見が割れた場面」で問われる。どちらかを説得する肢は誤りで、事情を聞いて調整する肢が正答になると覚えよう。

  • 認知症があっても本人には残っている意思がある。短い言葉でゆっくり聞き取り、決定の場から外さない。
  • 介護している家族も支援の対象になる。負担の大きさ、健康状態、仕事との両立を必ず確かめる。
  • 調整には退院支援看護師・医療ソーシャルワーカー・介護支援専門員が加わる。試験外泊で在宅の見通しを立てる方法もある。

参考: 老年看護学(退院支援・意思決定支援)の教科書

出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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