第103回 看護師国家試験 午後 問117 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。 Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。 Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 介護の負担を実際に減らす方法として、ヘルパーの利用を一緒に検討する。
Aちゃんは寝たきりで全介助、夜間は人工呼吸器を使う。父親は会社員で、日中の世話は母親に集中している。「疲れました」という訴えは、介護者の負担が限界に近づいている合図である。
必要なのは、気持ちを受け止めたうえで、負担そのものを減らす手立てを示すこと。 訪問介護(ヘルパー)を入れれば、日中の世話を分け合えて、母親が休める時間をつくれる。
残る3つは、母親の負担を減らす方向にはたらかない。
レスパイトケアとは
介護している家族が休息をとれるように、一時的にケアを代わる支援。短期入所などがこれにあたる。
- 1
「すぐに入院ができる病院を探します」不正解
Aちゃんの状態は安定しており、いま入院が必要な理由はない。休息が目的なら、短期入所など在宅を続けながら使えるレスパイトケアを先に探す。
- 2
「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」不正解
母親にさらに努力を求める言葉は、訴えを否定して追い詰める。看護師はまず疲れを受け止め、負担を分け合う方法を一緒に考える。
- 3
「お父さんに休職してもらいましょうか」不正解
父親の休職は収入が減り、家族の生活そのものが揺らぐ。役割の分担は、公的なサービスを組み合わせたうえで話し合う。
- 4
「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」正解
ヘルパーが入ると、母親が実際に手を離せる時間ができる。気持ちを受け止めるだけで終わらせず、使えるサービスを具体的に示している点が適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
在宅療養では、本人だけでなく介護者の疲れをどう減らすかが問われる。「気持ちを聞く」で止まる選択肢ではなく、負担を実際に減らす選択肢を選ぼう。
- 介護者が休めるようにする支援をレスパイトケアといい、短期入所や日中一時支援がこれにあたる
- 訪問介護(居宅介護)は、入浴・排泄・食事の介助や家事の援助で日々の手間を減らす
- 負担の大きさは、睡眠時間・自由に使える時間・体調の変化を具体的に聞き取ってつかむ
参考: 標準的な在宅看護論(家族介護者への支援)/障害者総合支援法(居宅介護・短期入所)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について