第103回 看護師国家試験 午前 問53 解説
📝 問題
運動神経の刺激の伝達経路を図に示す。Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群で主に障害される部位はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ ギラン・バレー症候群で主に障害されるのは、脊髄から筋肉へ向かう末梢神経である。
図は、脳から筋肉へ命令が伝わる道すじを表している。 脳から出た命令は脊髄の中を下り、脊髄の下のほうで次の神経に乗りかえる。そこから伸びる末梢神経が筋肉まで届き、神経と筋肉のつなぎ目で命令が渡される。
ギラン・バレー症候群は、かぜや下痢のあとに起こる自己免疫の病気で、自分の抗体が末梢神経の髄鞘を攻撃する。命令の通り道が傷むため、両足から力が入らなくなり、麻痺が下から上へ広がっていく。
他の部位が傷むのは別の病気である。脊髄の中の下行路は脳梗塞や脊髄損傷、つなぎ目は重症筋無力症、筋肉そのものは筋ジストロフィーや多発性筋炎で障害される。
髄鞘とは
神経の線維を包むさや。電気の信号を速く伝えるはたらきがあり、ここが壊れると命令が伝わりにくくなる。
- 1
ア不正解
脊髄の中を下る上位運動ニューロンの通り道。ここが傷むのは脳梗塞や脊髄損傷で、麻痺した側の筋緊張はむしろ高まる。
- 2
イ正解
脊髄から筋肉へ向かう末梢神経。ギラン・バレー症候群はこの髄鞘が自己抗体で壊され、力が入らない弛緩性の麻痺が下から上へ広がる。
- 3
ウ不正解
神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)。ここでアセチルコリンの受け取りが妨げられるのが重症筋無力症で、夕方に症状が強まる日内変動が出る。
- 4
エ不正解
筋肉そのもの。ここが少しずつ壊れていくのが筋ジストロフィー、炎症を起こすのが多発性筋炎。
📚 国試でよく狙われるところ
ギラン・バレー症候群は、経過と髄液の所見が決まった形で問われる。「先行感染→下から上への麻痺→蛋白細胞解離」と流れで覚えよう。
- かぜや下痢などの先行感染から1〜3週後に始まる
- 両足の力が入らなくなり、上へ広がる。深部腱反射は消失する
- 髄液は蛋白だけが増えて細胞は増えない=蛋白細胞解離
- 重くなると呼吸の筋も動かなくなるため、呼吸の状態をみることが最も大事になる
参考: 系統看護学講座 成人看護学 脳・神経/日本神経学会「ギラン・バレー症候群診療ガイドライン」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について