第115回 看護師国家試験 午後 問67 解説
📝 問題
Aさんは産褥2日である。現在、子宮底の位置は臍高で、大きく柔らかい。下腹部痛はないが悪露の排出は多い。Aさんへの看護ケアで適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 子宮底の輪状マッサージで子宮収縮を促す。
産褥2日の子宮底は本来臍下1〜2横指まで下降し、硬く触れる。ところがAさんは子宮底が臍高にとどまり「大きく柔らかい」うえに悪露も多く、子宮復古不全の状態である。 まず行うべきは、子宮底を輪状にマッサージして子宮筋の収縮を促し、貯留した血液や凝血塊を排出させることである。
子宮復古不全では、子宮筋が収縮しないために胎盤剝離面の血管が閉じず出血が続く。 安静臥床はかえって悪露の排出を妨げるので早期離床を促し、授乳は乳頭刺激によるオキシトシン分泌で子宮収縮を助けるため継続する。 下腹部には、血流を増やす温罨法ではなく冷罨法を用いる。
なお、下腹部痛(後陣痛)がないことは、子宮が十分に収縮していないことの裏づけでもある。
- 1
安静臥床を保つ。不正解
安静臥床は悪露の子宮内貯留を招き、かえって子宮復古を妨げる。産褥期は異常がなければ早期離床を進め、歩行によって悪露の排出と子宮収縮を促す。
- 2
直接授乳を控える。不正解
直接授乳による乳頭刺激は下垂体後葉からのオキシトシン分泌を促し、子宮筋を収縮させる(授乳中に後陣痛を感じるのはこのため)。子宮復古不全では、むしろ授乳を続けることが復古を助ける。
- 3
下腹部を温罨法する。不正解
温罨法は局所の血流を増やすため、出血が続いている状況では出血量を増やすおそれがある。子宮収縮を促す目的では下腹部の冷罨法を選択する。
- 4
子宮底をマッサージする。正解
子宮底の輪状マッサージは子宮筋を機械的に刺激して収縮を促し、貯留した血液や凝血塊の排出を助ける。マッサージ後は子宮底の高さと硬度、排出された悪露の量・性状を必ず再評価する。
📚 国試でよく狙われるところ
子宮復古は、産褥日数と子宮底の高さ・悪露の色の組合せを入れ替えて問われる。日数と高さを対にして覚えよう。 子宮復古不全の主な原因は、胎盤・卵膜の遺残、子宮内感染、多胎妊娠・巨大児・羊水過多による子宮筋の過伸展、膀胱や直腸の充満、授乳をしていないこと、長時間の臥床である。 膀胱の充満は子宮を押し上げて収縮を妨げるため、子宮底が高いときはまず排尿を促す。
| 時期 | 子宮底の高さ | 悪露 |
|---|---|---|
| 分娩直後 | 臍下2〜3横指 | 赤色悪露 |
| 分娩12時間後 | 臍高〜臍上1横指 | 赤色悪露 |
| 産褥1〜2日 | 臍下1〜2横指 | 赤色悪露 |
| 産褥3日 | 臍下2〜3横指 | 赤色〜褐色悪露 |
| 産褥5日 | 臍と恥骨結合上縁の中央 | 褐色悪露 |
| 産褥7〜10日 | 恥骨結合上縁でわずかに触れる〜触れない | 褐色〜黄色悪露 |
| 産褥4〜6週 | 非妊時の大きさに復古 | 白色悪露 |
参考: 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編」/系統看護学講座 母性看護学(産褥期の異常)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について