第115回 看護師国家試験 午後 問55 解説
📝 問題
認知機能の評価で、高齢者に3段階の命令で行動を促す項目が含まれるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 3段階の命令に従って動作を行う項目が含まれるのは、ミニメンタルステート検査〈MMSE〉である。
ミニメンタルステート検査〈MMSE〉は30点満点の認知機能検査で、見当識・即時想起・注意と計算・遅延再生・言語(呼称・復唱・読字・書字)・図形模写に加え、「右手に紙を持ち、半分に折り、床に置く」という3段階命令を実際に動作で行わせる項目を含む。 動作の課題を含む点がこの検査の大きな特徴で、カットオフは一般に23点以下で認知症が疑われる。
他の指標は評価の枠組みが異なる。 改訂長谷川式簡易認知評価スケール〈HDS-R〉は全9項目がすべて口頭で答える形式で、動作を伴う課題を含まない(20点以下で認知症が疑われる)。 臨床的認知症尺度〈CDR〉とFASTは、本人に課題を出すのではなく、生活の様子を観察・聴取して重症度や病期を判定する尺度である。
- 1
Clinical Dementia Rating〈CDR〉不正解
CDRは、記憶・見当識・判断力と問題解決・社会適応・家庭生活および趣味・介護状況の6領域について、本人と介護者からの情報をもとに0(健康)・0.5(疑い)・1(軽度)・2(中等度)・3(重度)の5段階で重症度を判定する。被検者に課題を課す検査ではない。
- 2
Functional Assessment Staging〈FAST〉不正解
FASTはアルツハイマー型認知症について、日常生活動作の障害の程度から病期を7段階に分類する観察尺度である。命令課題は含まれない。
- 3
改訂長谷川式簡易認知評価スケール〈HDS-R〉不正解
HDS-Rは30点満点・9項目で、年齢、日時と場所の見当識、3単語の記銘と遅延再生、計算(100から順に7を引く)、数字の逆唱、5つの物品の記銘、野菜の名前の列挙から構成される。すべて口頭で答える形式で、動作を伴う3段階命令は含まれない。
- 4
Mini-Mental State Examination〈MMSE〉正解
MMSEには3段階命令のほか、読字(「目を閉じてください」と書かれた文を読んで実行する)、書字、図形(重なった五角形)の模写といった動作性の課題が含まれる。
📚 混同しやすいので注意
認知機能の評価尺度は、点数・形式・何を測るのかを入れ替えて問われる。「本人に課題を出すのか、生活の様子から判定するのか」で二分して覚えよう。
| 尺度 | 形式 | 特徴 |
|---|---|---|
| MMSE | 本人への質問+動作課題(30点) | 3段階命令・読字・書字・図形模写を含む。23点以下で認知症疑い |
| HDS-R | 本人への口頭質問(30点) | 全9項目が口頭。20点以下で認知症疑い |
| CDR | 本人・介護者からの情報で評価 | 6領域を0〜3の5段階で重症度判定 |
| FAST | 生活動作の観察 | アルツハイマー型認知症の病期を7段階に分類 |
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について