第115回 看護師国家試験 午前 問92 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 Aさん(80歳、男性、要介護2)は1人で暮らしている。脳出血を発症し、急性期病院で地域連携クリニカルパスに沿って治療が行われた。軽度の右不全麻痺と失語があるため、回復期リハビリテーション病院に転院した。Aさんは自宅退院を希望している。退院後はかかりつけの診療所へ通院し、訪問看護と訪問介護を利用する予定である。 退院1か月後、隣町に住んでいる長男がAさん宅を訪ねると、Aさんは嘔吐と下痢をしていた。長男が付き添ってかかりつけの診療所を受診したところ、Aさんは感染性胃腸炎と診断された。Aさんの長男から依頼を受け、訪問看護師はAさんの体調確認のために臨時で訪問した。 このときの訪問看護師の対応で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 感染性胃腸炎では、石鹸と流水での手洗いができているかを確認する。
感染性胃腸炎の多くはノロウイルスなどのウイルスによる。ノロウイルスはエンベロープを持たないためアルコール消毒が効きにくく、石鹸と流水による手洗いでウイルスを物理的に洗い流すのが最も確実な予防策になる。
独居のAさんが実際に手洗いできているかを確認し、必要なら手技を一緒にやってみる。それが訪問看護師の役割である。
在宅の感染管理は「病院と同じことをする」のではなく、その家にある物と本人の力で実行できる方法に合わせるのが基本である。 手洗いの場所、石鹸の有無、タオルを共用していないかまで、実際に見て確認する。
- 1
保健所に感染性胃腸炎の発生届を提出する。不正解
感染性胃腸炎は感染症法の5類感染症(定点把握)で、報告するのは指定届出機関の医師である。訪問看護師が発生届を出す立場にはない。
- 2
Aさんが石鹸と流水で手洗いできているか確認する。正解
正しい。ノロウイルスはアルコールが効きにくいため、石鹸と流水で洗い流す手洗いが基本になる。
- 3
介護支援専門員に訪問介護を中止するよう連絡する。不正解
独居のAさんにとって訪問介護は生活の支えであり、中止すれば生活が成り立たない。手袋・エプロン・手洗いなど標準予防策の徹底を事業所と共有する。
- 4
長男に吐物で汚染した衣類は洗濯して室内に干すよう伝える。不正解
吐物で汚染した衣類は、付着物を除いてから0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムまたは85℃1分以上の熱水で消毒し、乾燥は屋外で行う。室内干しはウイルスが舞い上がり吸入感染の原因になる。
📚 国試でよく狙われるところ
感染性胃腸炎は、吐物の処理の手順がそのまま問われる。防護具の着用から廃棄までを一続きで覚えよう。
- 吐物処理は使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し、外側から内側へ静かに拭き取る。
- 処理後は換気を行い、使った物品はビニール袋に密閉して廃棄する。
- 金属は次亜塩素酸ナトリウムで腐食するため、消毒後に水拭きする。
| 濃度 | 用途 | 希釈の目安(原液5%の場合) |
|---|---|---|
| 0.1%(1,000ppm) | 吐物・便で汚染された床、衣類、おむつ | 水500mLに約10mL |
| 0.02%(200ppm) | ドアノブ・手すり・便座・テーブルなどの環境 | 水500mLに約2mL |
| 使用しない | 手指 | 石鹸と流水で手洗いする |
参考: ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)/感染症法 5類感染症(感染性胃腸炎・定点把握)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について