第115回 看護師国家試験 午前 問4 解説
📝 問題
土壌中に分布し感染を引き起こすのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 土壌中の芽胞が創傷から侵入するのは破傷風菌
破傷風菌(Clostridium tetani)は偏性嫌気性のグラム陽性桿菌で、芽胞の形で土壌中に広く分布している。釘を踏む、土で汚れた傷を負うなどして芽胞が深い創に入り込むと、酸素の少ない環境で発芽して神経毒(テタノスパスミン)を産生する。
潜伏期は3〜21日。開口障害(口が開けにくい=牙関緊急)から始まり、痙笑、頸部硬直、そして全身の強直性痙攣や後弓反張へ進み、呼吸筋の痙攣で死に至ることもある。予防はワクチンによる能動免疫で、乳児期の五種混合(従来は四種混合 DPT-IPV)に破傷風トキソイドが含まれる。免疫は生涯持続しないため、受傷時には接種歴に応じてトキソイドの追加接種や抗破傷風人免疫グロブリンを用いる。
- 1
結核菌不正解
結核菌は排菌している患者の咳・くしゃみから出た飛沫核による空気感染で広がる。土壌が分布域ではない。
- 2
コレラ菌不正解
コレラ菌は汚染された水や食品による経口感染。河川・汽水域や生の魚介類が感染源で、米のとぎ汁様の激しい下痢を起こす。
- 3
破傷風菌正解
正しい。土壌中の芽胞が創傷から侵入する。芽胞は熱・乾燥・消毒薬に強く、通常の消毒では死滅しない。
- 4
カンピロバクター不正解
カンピロバクターは加熱不十分な鶏肉など食品を介した経口感染。細菌性食中毒の原因として最も多く、Guillain-Barré症候群の先行感染となることがある。
📚 関連知識
- 破傷風は感染症法の5類感染症(全数把握)で、診断した医師は7日以内に届け出る。
- 芽胞をつくる主な菌は破傷風菌・ボツリヌス菌・ウェルシュ菌・クロストリジオイデス ディフィシル・セレウス菌。芽胞にはアルコールが効きにくい。
- 1歳未満に蜂蜜を与えてはならないのは、腸内細菌叢が未熟でボツリヌス菌の芽胞が発芽・増殖し乳児ボツリヌス症を起こすため。
| 病原体 | 主な感染経路・感染源 |
|---|---|
| 破傷風菌 | 土壌中の芽胞が創傷から侵入 |
| ボツリヌス菌 | 土壌の芽胞。真空パック食品、乳児では蜂蜜 |
| 結核菌 | 空気感染(飛沫核) |
| コレラ菌 | 汚染された水・食品(経口) |
| カンピロバクター | 加熱不十分な鶏肉など(経口) |
| レジオネラ属菌 | 循環式浴槽・冷却塔水などのエアロゾル |
| ノロウイルス | 二枚貝、患者の吐物・便(接触・経口) |
参考: 国立感染症研究所「破傷風とは」/感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について