第115回 看護師国家試験 午前 問100 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。 Aさん(75歳、男性)は妻(70歳)と2人で暮らしている。日中は本を読んで過ごすことが多い。2か月前からAさんは、椅子から立ち上がる時にバランスを崩すことや「寝室に女の子がいる」と言うことがあった。また、就寝後、夜間に大きな声で「おーい」と叫んで手を振る行動が継続してみられるようになった。心配になった妻がAさんと病院を受診し、初期のLewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。Aさんは要介護認定の申請をし、要支援1と認定された。 Aさんに出現している症状はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・5
💡 解説
✅ 「寝室に女の子がいる」=幻視、夜間に叫んで手を振る=レム睡眠行動障害。
Lewy〈レビー〉小体型認知症〈DLB(ディーエルビー)〉の中核的特徴は次の4つ。 ・認知機能の変動 ・繰り返す具体的な幻視 ・レム睡眠行動障害〈RBD〉 ・パーキンソニズム
Aさんの「寝室に女の子がいる」という訴えは、実在しない人物がはっきり見える具体的な幻視である。夜間に大きな声で叫んで手を振る行動は、夢の内容がそのまま行動に出るレム睡眠行動障害にあたる。
なお「椅子から立ち上がる時にバランスを崩す」のもパーキンソニズム(姿勢反射障害)で中核的特徴だが、選択肢には挙がっていない。
- 1
幻視正解
正しい。「寝室に女の子がいる」は、実際にはいない人物が生々しく見える幻視である。
- 2
徘徊不正解
徘徊(目的が周囲に分からない歩き回り)の記載はない。Aさんは日中は本を読んで過ごしている。
- 3
観念失行不正解
観念失行は、運動麻痺がないのに道具の使用手順が分からなくなる症状(例=歯ブラシの使い方が分からない)。該当する記述はない。
- 4
実行機能障害不正解
実行機能障害は、計画を立てて段取りよく行う力の障害。Aさんは日中に読書ができており、記述からは判断できない。
- 5
レム睡眠行動障害正解
正しい。夜間に大きな声で叫び手を振る行動は、夢の内容が行動として現れるレム睡眠行動障害〈RBD〉である。
📚 関連知識
認知症は原因疾患によって「最初に目立つ症状」が違う。ここを押さえると鑑別の問題に強くなる。
- DLBでは自律神経症状(起立性低血圧・便秘・失神)も高い頻度でみられる。
- 抗精神病薬への過敏性があり、少量でもパーキンソニズムや過鎮静が強く出る。
- レム睡眠行動障害は、DLBやParkinson(パーキンソン)病の発症に数年〜十数年先行することがある。
| 疾患 | 特徴的な症状 | 経過 |
|---|---|---|
| Alzheimer〈アルツハイマー〉型 | 近時記憶障害が初発、見当識障害、物盗られ妄想 | 緩やかに進行 |
| Lewy〈レビー〉小体型 | 具体的な幻視、認知機能の変動、パーキンソニズム、レム睡眠行動障害、抗精神病薬への過敏性 | 変動しながら進行 |
| 血管性 | まだら認知症、局所神経症状、感情失禁 | 階段状に進行 |
| 前頭側頭型 | 人格変化、脱抑制、常同行動、食行動の変化 | 記憶は比較的保たれる |
参考: 認知症疾患診療ガイドライン2017(日本神経学会)/DLB国際ワークショップ 診断基準(2017年改訂)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について