第114回 看護師国家試験 午後 問78 解説
📝 問題
術後の回復過程でエネルギー不足の場合にケトン体の供給源となるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ エネルギーが足りないとき、ケトン体のもとになるのは脂肪酸である。
手術の後や飢餓の状態では、糖からのエネルギー供給が追いつかなくなる。すると体は蓄えた脂肪を使い始める。脂肪が分解されてできた遊離脂肪酸が肝臓に運ばれ、そこでケトン体につくり変えられる。
ケトン体は水に溶けて脳にも届くため、ブドウ糖が足りないときの脳のエネルギー源になる。心筋や骨格筋も利用する。つまりケトン体は脂肪をエネルギーとして全身に配るための形であり、そのもとは脂肪酸である。
- 1
乳酸不正解
乳酸は酸素が足りないときにできる代謝産物で、肝臓に運ばれてブドウ糖につくり直される。ケトン体の材料にはならない。
- 2
尿酸不正解
尿酸は核酸(プリン体)の最終代謝産物で、エネルギー源にはならず腎臓から排泄される。
- 3
脂肪酸正解
脂肪から動員された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体につくり変えられ、脳・心筋・骨格筋のエネルギー源になる。
- 4
蛋白質不正解
アミノ酸の一部もケトン体になり得るが、量としては主役ではない。体はまず脂肪を使い、体の蛋白が分解されるのはできるだけ抑えようとする。
- 5
アンモニア不正解
アンモニアはアミノ酸が分解されるときにできる有害な物質で、肝臓で尿素に変えられて腎臓から排泄される。エネルギー源にはならない。
📚 一緒に確認しよう
術後は時期によって代謝が大きく変わる。表と合わせて押さえる。
- ケトン体=アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトンの3つをまとめた呼び名
- ケトン体が増えすぎると代謝性アシドーシスになる(糖尿病性ケトアシドーシス)。息のアセトン臭と、深く大きい呼吸が特徴
- 術後は筋肉の蛋白も分解され、創傷治癒の遅れや筋力低下につながる。早期からの栄養投与で分解を最小限にすることが管理の要点
| 相 | 時期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1相 傷害期(異化期) | 術後2〜4日 | 交感神経系とホルモン(カテコラミン・コルチゾール)の亢進。異化亢進、高血糖、水・ナトリウム貯留、尿量減少 |
| 第2相 転換期 | 術後3〜7日ころ | 利尿がつき水・電解質が正常化。腸蠕動が回復し始める |
| 第3相 筋力回復期(同化期) | 術後1週〜数週 | 蛋白合成が進み筋力が回復。食欲が戻る |
| 第4相 脂肪蓄積期 | 術後数週〜数か月 | 体脂肪が回復し体重が戻る |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について