第114回 看護師国家試験 午後 問110 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来した。その後、陣痛が増強して順調な分娩進行と診断され、入院後に分娩した。Aさんの分娩経過を以下に示す。 2時00分 陣痛周期10分 5時30分 入院 15時00分 分娩室入室 15時30分 子宮口全開大 15時40分 自然破水 16時20分 児娩出 16時30分 胎盤娩出 18時30分 帰室 分娩直後の出血量は300mLであった。分娩後1時間の出血量20mL、子宮底は臍下2横指で硬度良好、脈拍75/分、血圧100/74mmHgであった。分娩後2時間の出血は20mL、子宮底は臍下1横指で硬度良好。脈拍75/分、血圧126/56mmHgであった。児への早期授乳後に下腹部の痛みを訴えている。尿意があり少量の排尿があった。 Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 子宮の硬さも出血量も問題なく、子宮復古は良好である。
子宮復古は、子宮底の高さ・子宮の硬さ・出血量の3つを合わせて判断する。
Aさんは硬度良好、出血量は分娩直後300mL+その後40mLで合計340mL。分娩時異常出血の基準500mLを下回り、脈拍75/分で頻脈もない。子宮復古は良好と判断できる。
子宮底が臍下2横指から臍下1横指へ上がったのは異常ではない。分娩直後に下がった子宮は、そのあといったん臍の高さ近くまで上がり、以後1日ごとに下がっていく。硬さがよく出血が少なければ心配はいらない。
| 時点 | 出血量 | 子宮底 | 硬度 | 脈拍 | 血圧 |
|---|---|---|---|---|---|
| 分娩直後 | 300mL | — | — | — | — |
| 分娩後1時間 | 20mL | 臍下2横指 | 良好 | 75/分 | 100/74mmHg |
| 分娩後2時間 | 20mL | 臍下1横指 | 良好 | 75/分 | 126/56mmHg |
| 合計 | 340mL | — | — | — | — |
- 1
尿閉である。不正解
尿閉は尿がまったく出せない状態で、尿意があり排尿もできているAさんは該当しない。ただし残尿は子宮の下降を妨げるので、排尿量と膀胱の張りは続けて確認する。
- 2
下腹部痛は異常である。不正解
授乳でオキシトシンが分泌され子宮の収縮が強まると、下腹部の痛み(後陣痛)が強くなる。復古が進んでいる証拠で、異常ではない。
- 3
子宮復古が良好である。正解
硬度良好、出血合計340mL、脈拍75/分と安定している。子宮底の位置の変化も生理的なもので、復古は良好といえる。
- 4
分娩時異常出血である。不正解
分娩時異常出血は経腟分娩で500mL以上と定義される。合計340mLで下回り、頻脈や血圧低下といったショックの徴候もない。
📚 一緒に確認しよう
子宮底の高さは、産褥何日目かの目安として押さえておく。
- 子宮復古不全を疑うのは、子宮が柔らかい・子宮底が下がらない・悪露の赤色が長引く・出血が多いとき
- 復古を妨げるのは、膀胱にたまった尿・便の貯留・多胎・巨大児・卵膜や胎盤の遺残・子宮内感染
- 悪露は赤色(産褥3日ころまで)→褐色→黄色→白色と変化する
- 後陣痛は経産婦のほうが強く、授乳のたびに痛がることもある
| 時期 | 子宮底の高さ |
|---|---|
| 分娩直後 | 臍下2〜3横指 |
| 分娩後約12時間 | 臍高〜臍上(いったん上昇する) |
| 産褥1〜3日 | 1日1〜2横指ずつ下降 |
| 産褥5日ころ | 臍と恥骨結合上縁の中央 |
| 産褥10日ころ | 腹壁からは触れなくなる |
参考: 産婦人科診療ガイドライン産科編(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について