第114回 看護師国家試験 午後 問106 解説
📝 問題
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。 A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎のため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。 母親への説明で、最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 手順を分け、A君ができるところから段階的に任せる。
A君は5歳6か月。車椅子からトイレへ自力で移動でき、指先も細かく動かせる。本人にも「やってみたい」という意欲がある。
自立を進めるときは、手順の全体をいきなり任せない。 ・手を洗う ・物品を準備する ・尿道口を拭く ・カテーテルを入れる このように分けて、できるところから段階的に移していく進め方をスモールステップという。小さな成功が自信になり、次の段階への意欲につながる。
母親は「どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と話している。段階を示すことは、そのまま焦りへの答えにもなる。
- 1
「手順の中で、A君ができることを段階的に行いましょう」正解
手順を細かく分け、できる部分から任せる方法である。母親の「どう進めたらよいか」という問いに直接答えている。
- 2
「手技の失敗を繰り返すことが、A君の自信につながります」不正解
失敗の繰り返しは自信ではなく無力感を生む。自己導尿の失敗は尿道の傷や尿路感染にもつながるため、安全面からも受け入れられない。
- 3
「入学までに、A君が自分で最後までできるようにしましょう」不正解
入学までと期限を切ると、できなかったときに母子とも挫折感を抱える。すでに焦っている母親をさらに追い込むことにもなる。
- 4
「最初のステップは、A君がカテーテルの挿入を自分でできることです」不正解
カテーテルの挿入は手順のなかで最も難しく、失敗したときの体への負担も大きい。手洗いや物品準備など、安全で成功しやすいところから始める。
📚 一緒に確認しよう
二分脊椎では、神経管の閉じ方が不十分なために下肢の運動・感覚障害と膀胱直腸障害が起こる。
- 妊娠前からの葉酸の摂取は、神経管閉鎖障害が起こる危険を下げる
- 自己導尿は無菌操作ではなく清潔間欠導尿として行い、手洗いと物品の清潔保持が基本になる
- 学童期の自立は、手技だけでなく「困ったときに人に伝えられる力」も含めて考える
| 障害 | 内容 | 管理 |
|---|---|---|
| 排尿障害(神経因性膀胱) | 残尿・逆流により腎機能が悪化する | 清潔間欠導尿、抗コリン薬、定期的な腎機能評価 |
| 排便障害 | 便秘・便失禁 | 食事・水分、緩下薬、洗腸、排便習慣の確立 |
| 下肢の運動・感覚障害 | 麻痺、感覚低下 | 装具、車椅子、圧迫による褥瘡や熱傷の予防 |
| 水頭症 | 多くにシャント術が行われる | シャント機能不全(頭痛・嘔吐・意識障害)の早期発見 |
| ラテックスアレルギー | 反復する手術・処置で感作されやすい | ラテックスフリー製品の使用 |
参考: 二分脊椎症(小児慢性特定疾病情報センター)/学校において予防すべき感染症の解説・学校生活管理指導表(日本学校保健会)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について