第114回 看護師国家試験 午前 問31 解説
📝 問題
重症筋無力症〈myasthenia gravis〉に合併する頻度が最も高いのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 重症筋無力症に最も多く合併するのは胸腺腫である。
重症筋無力症は、神経から筋への伝達に必要なアセチルコリン受容体に自己抗体ができ、力が入らなくなる病気。
この自己抗体ができる免疫の異常には胸腺が深く関わっており、患者の約15〜20%に胸腺腫を合併する。逆に、胸腺腫の患者の約3割が重症筋無力症を発症する。結びつきが強いため、胸腺を取る手術が治療として行われる。
症状は、使い続けると力が入らなくなる疲れやすさと、朝は軽く夕方に悪くなる日内変動。はじめは眼瞼下垂や複視が多い。
- 1
胸腺腫〈thymoma〉正解
正しい。合併する腫瘍としては胸腺腫が飛び抜けて多い。
- 2
胸膜中皮腫〈pleural mesothelioma〉不正解
胸膜中皮腫はアスベスト(石綿)を吸ったことが主な原因の悪性腫瘍で、免疫の異常とは関係がない。
- 3
甲状腺腫瘍〈thyroid tumor〉不正解
自己免疫による甲状腺の病気(バセドウ病・橋本病)を合併することはあるが、それは腫瘍ではない。甲状腺腫瘍が多いという事実はない。
- 4
悪性リンパ腫〈malignant lymphoma〉不正解
悪性リンパ腫はリンパ系の悪性腫瘍で、重症筋無力症と結びつく仕組みはない。
📚 混同しやすいので注意
名前が似た2つの病気は、「使うと弱るか、使うと少し良くなるか」で見分ける。
- 診断はアセチルコリン受容体に対する自己抗体の検査と、胸部の画像で胸腺を調べることによる。
- 筋無力性クリーゼは、感染・手術・薬をきっかけに呼吸の筋が麻痺する状態。人工呼吸器での管理が必要になる。
- 悪化させる薬があるので投薬時は注意する(一部の抗菌薬、筋弛緩薬、β遮断薬、マグネシウム製剤)。
| 重症筋無力症 | ランバート・イートン筋無力症候群 | |
|---|---|---|
| 自己抗体が向かう先 | アセチルコリン受容体 | 神経終末のカルシウムチャネル |
| 初めの症状 | 眼瞼下垂・複視など目の症状が多い | 太ももなど下肢の付け根側の脱力。目の症状は乏しい |
| くり返し動かすと | だんだん力が入らなくなる | 運動の直後は一時的に良くなる |
| 合併しやすい腫瘍 | 胸腺腫・胸腺の過形成 | 肺小細胞癌 |
参考: 日本神経学会「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について