第114回 看護師国家試験 午前 問17 解説
📝 問題
尿中ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 糖尿病ではインスリンの働きが足りないため、尿中ケトン体が陽性になる。
ケトン体は、糖をエネルギーとして使えないときに、脂肪を分解して作られる代わりの燃料。
糖尿病ではインスリンの働きが足りず、血糖は高いのに細胞が糖を取り込めない。そこで脂肪の分解が進み、ケトン体が作られすぎて尿に出てくる。
ケトン体は酸性なので、たまると血液が酸性に傾いて糖尿病ケトアシドーシスになる。 <ケトアシドーシスの症状> ・著しい高血糖と脱水 ・クスマウル大呼吸(深く速い呼吸) ・アセトン臭(果物のような甘酸っぱい息) ・悪心嘔吐、意識障害
飢餓・絶食・激しい嘔吐でも、尿のケトン体は陽性になる。
- 1
痛風〈gout〉不正解
痛風で高くなるのは尿酸。関節に尿酸がたまって強い痛みが出る。ケトン体とは関係がない。
- 2
肝硬変〈cirrhosis〉不正解
肝硬変で問題になるのはアンモニアの上昇(肝性脳症)やアルブミンの低下で、腹水や食道静脈瘤を伴う。
- 3
糖尿病〈diabetes mellitus〉正解
正しい。インスリンの働きが足りず糖を使えないため、脂肪の分解が進んでケトン体ができる。
- 4
ネフローゼ症候群〈nephrotic syndrome〉不正解
ネフローゼ症候群で尿に出るのはたんぱく(1日3.5g以上)。あわせて低アルブミン血症と浮腫が出る。
📚 混同しやすいので注意
糖尿病の急な合併症は2つあり、ケトン体が出るかどうかで見分ける。
- シックデイ(発熱・下痢・嘔吐で食事がとれない日)でも、自己判断でインスリンをやめてはいけない。水分と炭水化物をとり、血糖と尿のケトン体を測って主治医に連絡する。
- インスリン治療を始めたときは低カリウム血症に注意する。インスリンはカリウムを細胞の中へ移動させる。
| 糖尿病ケトアシドーシス | 高浸透圧高血糖状態 | |
|---|---|---|
| 起こりやすい人 | 1型(インスリン中断・感染) | 2型(高齢者・脱水) |
| 血糖値 | 300〜1,000mg/dL | 600mg/dL以上と著明 |
| ケトン体 | 強陽性 | 陰性〜軽度 |
| 呼吸 | クスマウル大呼吸、アセトン臭 | 特徴的な所見に乏しい |
| 治療 | 輸液とインスリン、カリウムの補正 | 輸液(脱水の補正)が中心 |
参考: 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について