第113回 看護師国家試験 午後 問89 解説
📝 問題
インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・4
💡 解説
✅ インシデントレポートは個人の責任追及を目的とせず、分析結果を多職種で組織全体に共有するのが適切である。
インシデントレポートは、医療安全のために事故やヒヤリ・ハットの情報を集める仕組みである。目的は個人の責任追及ではなく再発防止とシステム改善で、集めた情報は多職種で共有し、業務の見直しにつなげる。
書式は各施設が定め、報告は発生後速やかに行う。患者に実施される前に気づいた事例(ニアミス)も報告の対象になる。どれも「責めずに集めて、次に活かす」という目的から判断できる。
ヒヤリ・ハットとは
患者に害が及ぶ前に「ヒヤリ」「ハッ」と気づいた出来事。実害がなくても、次の事故を防ぐ手がかりとして報告する。
- 1
法令で書式が統一されている。不正解
書式は各施設で定めるもので、法令で統一されているわけではない。
- 2
責任追及のためには使用されない。正解
インシデントレポートは個人の責任追及ではなく再発防止・システム改善が目的である。
- 3
インシデントの発生から1か月後に提出する。不正解
報告は発生後できるだけ速やかに行うべきで、1か月後の提出は不適切である。
- 4
分析結果は他職種を含めて組織全体で共有する。正解
分析結果は他職種を含めて組織全体で共有し、業務改善に活かす。
- 5
医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例の報告は不要である。不正解
患者に実施される前に発見された事例(ニアミス)も再発防止のため報告対象である。
📚 ここも一緒におさえておこう
インシデントとアクシデントの境目、報告の目的はそのまま問われる。レベルは表で覚えよう。
- 施設の基準によるが、レベル0〜3aをインシデント、3b以上をアクシデントとする運用がある
- ハインリッヒの法則=1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハットがある
- 医療事故調査制度=医療に起因する、管理者が予期しなかった死亡・死産を医療事故調査・支援センターへ報告し、院内でも調査する制度
- 報告を集めるには非懲罰的で匿名性に配慮した文化づくりが前提になる
| レベル | 内容 |
|---|---|
| 0 | 誤った行為が発生したが、患者には実施されなかった |
| 1 | 患者に実施されたが、傷害はなかった |
| 2 | 観察の強化や検査の必要が生じたが、処置や治療は不要だった |
| 3a | 簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、鎮痛薬投与など) |
| 3b | 濃厚な処置や治療を要した(人工呼吸器装着、手術、入院日数の延長など) |
| 4 | 永続的な障害や後遺症が残った |
| 5 | 死亡(原疾患の自然経過によるものを除く) |
参考: 医療安全管理(インシデント・アクシデントレポート)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について