第113回 看護師国家試験 午前 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(22歳、男性)は、高校卒業後に就職したが、同僚との関係がうまく築けず、転職を繰り返している。「他の人と自分はどこか違う。自分の将来が不安だ」と感じたAさんは精神科クリニックを受診し、自閉症スペクトラム障害と診断された。Aさんは小学生のころから他人の気持ちが理解できないときがあり、対人関係を築くことが苦手で、学校で孤立していた。また、偏食が強く、るいそうがみられたために、同級生から容姿のことでいじめられたことがあった。中学校や高校では忘れ物が多く、集団生活になじめなかった。 Aさんに認められるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ Aさんに認められるのはコミュニケーションの障害である。
自閉症スペクトラム障害〈ASD〉の中核症状は、対人的相互反応・社会的コミュニケーションの持続的な障害と、限定・反復的な行動・興味である。 Aさんは幼少期から他人の気持ちが理解できず対人関係を築くのが苦手で孤立しており、これはコミュニケーションの障害に該当する。
『容姿のことでいじめられた』という経過は、本人のボディイメージの障害ではなく、いじめの背景を示す情報である点に注意する。
- 1
被害妄想不正解
被害妄想は統合失調症などでみられる症状で、ASDの中核症状ではない。
- 2
予期不安不正解
予期不安はパニック障害などの不安症状で、Aさんの記載症状の中心ではない。
- 3
ボディイメージの障害不正解
ボディイメージの障害は摂食障害などでみられる。いじめの記載はあるが本人のボディイメージ障害を示すものではない。
- 4
コミュニケーションの障害正解
他者の気持ちが理解できず対人関係を築くのが苦手で孤立してきたことは、ASDの中核であるコミュニケーションの障害に該当する。
📚 ここも一緒におさえておこう
自閉症スペクトラム障害〈ASD〉は、対人面の特性と行動面の特性という2つの柱でとらえる。特性は本人の努力不足ではなく、環境調整で暮らしやすさが大きく変わる。
- 2大特性=社会的コミュニケーションと対人的相互反応の持続的な障害、限定された反復的な行動・興味・活動(こだわり、常同行動、感覚過敏や鈍麻)。
- 支援の基本は構造化。絵カードやスケジュール表など視覚的手がかりを使い、指示は具体的・短く・肯定形で伝える。
- 感覚過敏(音・光・触覚)に配慮して刺激の少ない環境を整え、予定の変更は事前に予告する。
- 発達障害者支援法に基づく発達障害者支援センターが相談・就労支援を担う。抑うつや不安などの二次障害が受診の契機になることが多い。
参考: 自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断・支援に関する標準的看護
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について