第113回 看護師国家試験 午前 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日で男児を正常分娩した。出生体重3,000g、身長48.0cm。出生直後、児に付着していた羊水を拭き取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。その後、温めておいた衣服を着せてコットに寝かせ、コットを空調の風が当たらない場所に配置した。 看護師の行為で対流による児の熱喪失を予防したのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 対流による熱喪失を予防したのは、コットを空調の風が当たらない場所に配置した行為である。
新生児の熱喪失には4つの経路がある。対流は体表を流れる冷たい空気(気流)による熱の移動で、伝導は冷たい物との接触、放射は周囲の冷たい面への放熱、蒸散は皮膚や気道からの水分蒸発による熱喪失である。 コットを空調の風が当たらない場所に置いた行為は、気流による熱喪失=対流を防ぐ対応である。
新生児は体表面積が大きく低体温になりやすいため、4経路すべてに配慮した保温が必要である。
- 1
羊水を拭き取った。不正解
羊水を拭き取る行為は、皮膚からの水分蒸発による熱喪失(蒸散)を予防する対応である。
- 2
インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。不正解
ラジアントウォーマーは放射熱で加温するもので、放射による熱喪失への対応にあたる。
- 3
温めておいた衣服を着せた。不正解
温めた衣服を着せる行為は、冷たい物との接触による熱喪失(伝導)を予防する対応である。
- 4
コットを空調の風が当たらない場所に配置した。正解
空調の風(気流)が当たらない場所にコットを置くことは、対流による熱喪失を予防する対応である。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
新生児は大人と違うやり方で熱をつくり、体温が下がると全身に影響が及ぶ。保温のケアはここから理解できる。
- 新生児は体表面積が体重に比して大きく皮下脂肪が薄いため熱を失いやすく、ふるえによる産熱ができないので褐色脂肪組織の代謝で熱を産生する(非ふるえ熱産生)。
- 低体温は低血糖・代謝性アシドーシス・呼吸障害を招くため、酸素消費を最小にできる中性温度環境を保つ。
| 経路 | 内容 | 予防のケア |
|---|---|---|
| 蒸散(蒸発) | 皮膚や気道からの水分蒸発による熱の喪失 | 出生直後に羊水を速やかに拭き取る、濡れたリネンを交換する |
| 伝導 | 接触している冷たい物への熱の移動 | 温めたバスタオル・衣服・体重計・コットを用いる |
| 対流 | 体表を流れる冷たい気流への熱の移動 | 空調やドアの風が当たらない場所に置く、保育器の窓の開閉を最小限にする |
| 放射 | 接触していない冷たい壁や窓への放熱 | 窓際を避ける、ラジアントウォーマーや保育器で環境温を保つ |
参考: 新生児の体温管理(熱喪失の4経路)に関する標準的看護
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について