第112回 看護師国家試験 午前 問54 解説
📝 問題
高齢者の身体拘束に関する説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 身体拘束は、切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たす場合にかぎり検討される。
身体拘束は原則禁止であり、例外的に認められるのは緊急やむを得ない場合に限られる。 その判断には、切迫性(生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い)、非代替性(他に代替する方法がない)、一時性(拘束が一時的である)の3要件すべてを満たすことが必要である。
身体拘束の実施は担当看護師個人が決定するものではなく、多職種のチームで組織的に検討・判断する。ミトン型の手袋の使用も、手指の自由な動きを制限するため身体拘束に該当する。本人が同意していても家族への説明を省略してよいわけではなく、拘束の必要性・方法・時間などを本人・家族に十分説明し、記録することが求められる。
- 1
身体拘束の実施は担当看護師が決定する。不正解
身体拘束は担当看護師個人が決めるものではなく、多職種チームで組織的に検討・判断する。
- 2
ミトン型の手袋の使用は身体拘束ではない。不正解
ミトン型手袋の使用も手指の動きを制限するため身体拘束に該当する。
- 3
本人が身体拘束に同意していれば家族への説明は不要である。不正解
本人が同意していても家族への説明を省略してよいわけではなく、十分な説明と記録が必要である。
- 4
切迫性、非代替性および一時性の全てを満たしている場合に検討される。正解
切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たす場合にのみ、緊急やむを得ないものとして検討される。
📚 国試でよく狙われるところ
厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」では、次の行為が身体拘束にあたるとされている。
- 徘徊しないよう、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
- 転落しないよう、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
- 自分で降りられないよう、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
- チューブを抜かないよう四肢をひも等で縛る、またはミトン型の手袋をつける
- 立ち上がりを妨げるようなY字型抑制帯・腰ベルト・車椅子テーブルをつける
- 脱衣やおむつはずしを制限するためつなぎ服を着せる
- 行動を落ち着かせるため、気分や行動に作用する向精神薬(抗精神病薬・抗不安薬・睡眠薬など)を過剰に服用させる
- 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 切迫性 | 本人または他の利用者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い |
| 非代替性 | 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がない |
| 一時性 | 身体拘束その他の行動制限が一時的である |
| 手続 | 3要件すべてを満たすことを組織(多職種チーム)で確認し、本人・家族へ説明したうえで、態様・時間・心身の状況・やむを得ない理由を記録する |
精神科では、隔離・身体的拘束の要否の判断に、厚生労働大臣が指定した精神保健指定医の診察が必要(精神保健福祉法)。
参考: 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」/高齢者の権利擁護に関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について