第112回 看護師国家試験 午前 問27 解説
📝 問題
健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 過換気で二酸化炭素が減るため、体内は呼吸性アルカローシスになっている。
興奮や不安を契機に頻呼吸(過換気)が起こると、体内の二酸化炭素が過剰に排出されPaCO2が低下する。CO2は血中で酸として働くため、その減少により血液はアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなる。これが過換気症候群の病態であり、手足のしびれやテタニー、めまいを伴うことがある。
国試では過換気症候群の酸塩基平衡が頻出する。 「過換気→CO2が減る→アルカローシス」という流れで押さえる。 SaO2は正常でも100%を超えることはなく、頻呼吸だけでヘマトクリットが上がることもない。PaCO2は上昇ではなく低下する。
テタニーとは
血液中のカルシウムが働きにくくなって起こる手足のけいれん。口の周りや指先のしびれから始まることが多い。
- 1
アルカローシスである。正解
過換気でCO2が排出されPaCO2が低下するため、呼吸性アルカローシスとなる。
- 2
ヘマトクリットは基準値よりも高い。不正解
頻呼吸によりヘマトクリットが基準値より高くなるという直接の機序はない。
- 3
動脈血酸素飽和度〈SaO2〉は100%を超えている。不正解
動脈血酸素飽和度は最大でも100%で、100%を超えることはない。
- 4
動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は基準値よりも高い。不正解
過換気ではPaCO2は上昇ではなく低下するため、基準値より高いという記述は誤りである。
📚 ここも一緒におさえておこう
過換気症候群では、アルカローシスで起こる症状と、その場での対応が問われる。酸塩基平衡の異常は、一次変化と主な原因を4つの型で整理しておく。
- アルカローシスでは血液中で実際に働く遊離型のイオン化カルシウムが低下して神経や筋が興奮しやすくなり、口周囲や四肢のしびれや、親指が手のひら側に入るトルソー徴候のテタニーが生じる
- 紙袋を口に当てるペーパーバッグ法は低酸素の危険があり、現在は推奨されない
| 病態 | 一次変化 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 呼吸性アシドーシス | PaCO2 上昇 | COPD、呼吸抑制、換気不全 |
| 呼吸性アルカローシス | PaCO2 低下 | 過換気症候群、発熱、疼痛、低酸素 |
| 代謝性アシドーシス | HCO3⁻ 低下 | 糖尿病ケトアシドーシス、腎不全、下痢、乳酸アシドーシス |
| 代謝性アルカローシス | HCO3⁻ 上昇 | 嘔吐(胃液喪失)、利尿薬、低カリウム血症 |
動脈血の基準値:pH 7.35〜7.45、PaCO2 35〜45Torr、HCO3⁻ 22〜26mEq/L、PaO2 80〜100Torr。
参考: 標準的な病態生理学(過換気症候群・呼吸性アルカローシス)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について