第112回 看護師国家試験 午前 問117 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 Aちゃん(6歳、男児)は父親(50歳、会社員)、母親(48歳)、姉(11歳)と4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーで身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。喀痰吸引、胃瘻による経管栄養が必要で、訪問看護を週に2回利用している。まばたきの回数で「はい」と「いいえ」の意思表示はできるが、視線や上肢の動きには誤動作もあり、構音障害もあるため家族以外では意思の判断が難しい。また、手指での細かい操作はできない。Aちゃんは次年度から姉と同じ小学校の特別支援学級に通い、通常の学級の児童と交流の予定がある。 Aちゃんは入学して1度も入院することなく2年生になった。Aちゃんの母親はケアに必要な物品を学校の看護師に渡す際に「Aは学校に通うようになり、お友達が増えて本当によかったと思います。それに比べて私は仕事をしていないし、Aに友達ができた喜びや日々の苦労を理解してもらえる友達がいません。Aの同級生の親には年齢が近くて話しやすい人がいません」と話した。 Aちゃんの母親への提案で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 同じ立場の家族とつながることで孤立感を和らげられるため、障害のある子どもをもつ家族の会への参加を提案するのが適切である。
Aちゃんの母親は、身近に子どもの状況を理解し合える相手がおらず、孤立感や気持ちを分かち合えないつらさを訴えている。 こうした場面では、同じように障害のある子どもを育てる家族の会(ピアサポートの場)への参加を提案するのが適切である。同じ立場・経験をもつ人とつながることで、悩みの共有・情報交換・情緒的支援が得られ、孤立感の軽減につながる。
残る3つは、同じ経験をもつ相手とつながる提案になっていない。学校行事も姉の友達の親も、Aちゃんの状況を分かり合える相手とは限らず、仕事を勧めるのは母親が求めている情緒的なつながりとは別の話である。
- 1
「学校の行事に参加してみませんか」不正解
学校行事への参加は交流の一助にはなるが、理解し合える相手がいないという悩みに直接応える提案とはいえない。
- 2
「短時間でも仕事を始めてはいかがですか」不正解
仕事を始めるよう勧めるのは、母親が求める情緒的なつながりの問題と焦点がずれており適切でない。
- 3
「お姉ちゃんのお友達の親に話しかけてみませんか」不正解
姉の友達の親に話しかける提案は、Aちゃんの状況を理解し合える相手とは限らず母親のニーズに的確に応えない。
- 4
「障害のある子どもを持つ家族の会に参加してみませんか」正解
同じ立場の家族の会への参加は悩みの共有と情緒的支援をもたらし孤立感を軽減するため、適切で正しい。
📚 ここも一緒におさえておこう
同じ病気や障害を経験した人どうしが支え合うことをピアサポートという。専門職の支援では得にくい体験的知識がやりとりされるのが特徴。
- 効果=孤立感の軽減、体験に基づく具体的な情報の入手、ロールモデルとの出会い、自分の経験が誰かの役に立つという自己効力感
- 看護師の役割は、家族会・患者会・親の会などの社会資源を紹介し、参加を強制せずタイミングを見て提案すること
- 障害児を育てる家族には、きょうだい支援(病気や障害のある子の兄弟姉妹の気持ちを聴き、その子の生活も守る)・レスパイトケア(短期入所などで家族が休めるよう一時的にケアを代わる)・経済的支援(特別児童扶養手当・障害児福祉手当)の情報提供も併せて行う
参考: ピアサポート・患者家族会の意義/障害児・慢性疾患児を育てる家族への心理社会的支援
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について