第111回 看護師国家試験 午後 問80 解説
📝 問題
糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 糸球体濾過量(GFR)の推定にはクレアチニンが用いられる
糸球体濾過量(GFR)の推定には、日常臨床では血清クレアチニン値(と年齢・性別)を用いた推算式(eGFR)が広く用いられる。クレアチニンは筋肉で産生され、主に糸球体で濾過されて排泄されるため、腎機能(濾過能)の指標として臨床で最も一般的に使われる生体内物質である。 選択肢のうち推定に用いられるのはクレアチニンである。
イヌリンはGFRを最も正確に測定できる物質(糸球体で完全に濾過され、再吸収も分泌もされない)だが、これは体外から投与する外来性物質であり、「生体内物質」ではない。パラアミノ馬尿酸(PAH)は腎血漿流量の測定に用いられる外来性物質。尿素は食事や体液量の影響を受けやすくGFRの正確な指標には向かない。ビリルビンは肝・胆道系の指標で腎機能とは無関係である。
覚え方: 「正確に測るならイヌリン、日常はクレアチニン(eGFR)、腎血流はPAH」。本問は「生体内物質」という条件がポイントで、外来性のイヌリンではなく内因性のクレアチニンが答えになる。国試ではGFRの指標としてイヌリン・クレアチニンの使い分けが頻出。
eGFR〈イージーエフアール〉とは
推算糸球体濾過量。血液中のクレアチニン値と年齢・性別から計算する、腎臓が1分間にこし出せる量の目安。
- 1
尿素不正解
尿素は食事や脱水の影響を受けやすく、GFRの正確な推定には適さない。
- 2
イヌリン不正解
イヌリンはGFRを最も正確に測る物質だが外来性で、生体内物質ではない。
- 3
ビリルビン不正解
ビリルビンは肝・胆道系の指標であり、腎機能の評価には用いない。
- 4
クレアチニン正解
クレアチニンは内因性物質で、血清値からeGFRを算出し腎機能推定に広く用いられる。
- 5
パラアミノ馬尿酸不正解
パラアミノ馬尿酸は腎血漿流量の測定に用いる外来性物質で、GFR推定には用いない。
📚 ここも一緒におさえておこう
eGFRは血清クレアチニン値・年齢・性別から算出する。 筋肉量の少ない高齢者ややせた人では血清クレアチニンが低く出るため腎機能を過大評価しやすく、その影響を受けにくいシスタチンCが使われることもある。
- 慢性腎臓病〈CKD〉は、GFR 60mL/分/1.73m²未満または蛋白尿などの腎障害が3か月以上続く状態。
- 血中尿素窒素〈BUN〉は食事の蛋白量・脱水・消化管出血で上昇するため、単独では腎機能の指標にならない。
| 物質 | 何を測るか | 性質 |
|---|---|---|
| イヌリン | GFR(最も正確) | 外来性。濾過のみで再吸収も分泌もされない |
| クレアチニン | eGFR(日常臨床) | 内因性。筋肉量の影響を受ける |
| パラアミノ馬尿酸〈PAH〉 | 腎血漿流量〈RPF〉 | 外来性。ほぼ1回の腎循環で排泄される |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について