第111回 看護師国家試験 午後 問57 解説

一般人体の構造と機能✔ 監修済み

📝 問題

新生児や乳児が胎児期に母体から受け取った抗体は次のどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 胎児が母体から受け取る抗体はIgGである。

免疫グロブリンのうち、胎盤を通過できるのはIgGのみである。 胎児は妊娠後期に母体からIgGを経胎盤的に受け取り、これが生後数か月間の受動免疫(移行抗体)として新生児・乳児を感染から守る。

他の選択肢は胎盤を通過しない。 IgAは初乳・母乳に多く含まれ経母乳的に児へ移行するが、胎盤は通過しない。 IgDはB細胞表面に存在し、機能に不明な点が多く、母子移行には関与しない。 IgMは分子量が大きく胎盤を通過できず、胎児・新生児自身が感染時に最初に産生する抗体である(臍帯血中のIgM高値は胎内感染を示唆する)。

覚え方は「胎盤を通るのはIgGだけ(G=胎盤をGo)」。 母乳(初乳)で移行するのはIgA、IgMは大きくて通れず、胎児が最初に作る抗体である。

免疫グロブリンとは

体に入った異物をとらえる抗体そのもの。IgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5種類があり、働く場所と時期がそれぞれ違う。

  • 1

    IgA不正解

    IgAは初乳・母乳に多いが胎盤は通過しない。

  • 2

    IgD不正解

    IgDはB細胞表面に存在し、母子移行には関与しない。

  • 3

    IgG正解

    IgGは唯一胎盤を通過し、経胎盤的に母体から胎児へ移行して受動免疫を与える。

  • 4

    IgM不正解

    IgMは分子量が大きく胎盤を通過できない。胎児が最初に産生する抗体である。

📚 ここも一緒におさえておこう

免疫グロブリンは、種類ごとの働きと、母体からもらった抗体がいつまで児を守るのかが問われる。時期と予防接種の開始を結びつけて覚えよう。 新生児のIgGは母体由来の移行抗体が減る生後3〜6か月ごろに最も低くなり、この時期は感染しやすい。

  • 能動免疫=自分で抗体を作る(感染・予防接種)。受動免疫=他者の抗体を受け取る(経胎盤のIgG・母乳のIgA・免疫グロブリン製剤)。
  • 感染の初期(一次応答)に最初に産生されるのはIgM、遅れて増え長く残るのがIgG(二次応答で急増)。
  • Ⅰ型アレルギー(アナフィラキシー・気管支喘息・花粉症)に関与するのはIgE。
免疫グロブリンの種類と特徴
種類所在・割合特徴
IgG血清中で最も多い唯一胎盤を通過する。感染防御の主体で、二次応答で増加
IgA初乳・唾液・腸液・涙などの分泌液分泌型IgAとして粘膜面を守る。母乳を介して児に移行
IgM分子量が最大(五量体)感染初期に最初に産生される。胎盤は通過しない
IgDB細胞の表面機能に不明な点が多い
IgEごく微量肥満細胞・好塩基球に結合し、Ⅰ型アレルギーに関与

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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