第111回 看護師国家試験 午後 問54 解説
📝 問題
令和元年度(2019年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 被虐待高齢者の認知症日常生活自立度はランクⅡが最も多い。
令和元年度の高齢者虐待調査によると、養護者による虐待を受けた高齢者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ではランクⅡが最も多い。
他の選択肢は統計の数値と合わない。 養護者による虐待では、虐待者は「息子」が最も多く、夫が最多ではない。 被虐待者は約7割が女性であり、9割ではない。 虐待種別は身体的虐待が最も多く(約6割)、心理的虐待が全体の6割を占めるわけではない(心理的虐待は身体的虐待に次ぐ)。
覚え方は、養護者による高齢者虐待は「虐待者は息子が最多」「種別は身体的虐待が最多」「被虐待者は女性・要介護・認知症ランクⅡが多い」。
養護者とは
高齢者を現に世話している家族・親族・同居人など。施設や事業所の職員は含まない。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準とは
認知症のある人がどのくらい自分で生活できるかを、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Mの5段階で表した目安。要介護認定でも使われる。
- 1
夫による虐待が最も多い。不正解
虐待者は息子が最も多く、夫が最多ではない。
- 2
被虐待者の9割が女性である。不正解
被虐待者は約7割が女性であり、9割ではない。
- 3
心理的虐待が全体の6割を占めている。不正解
最も多い虐待種別は身体的虐待(約6割)で、心理的虐待が6割を占めるわけではない。
- 4
被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。正解
被虐待高齢者の認知症日常生活自立度はランクⅡが最も多い。
📚 国試でよく狙われるところ
高齢者虐待は、通報と対応の仕組みもあわせて問われる。誰が何をするのかを役割ごとに覚えよう。 高齢者虐待防止法の対象は65歳以上。虐待は養護者によるものと養介護施設従事者等によるものに分けて把握される。成年後見制度や日常生活自立支援事業は権利擁護(アドボカシー)の仕組み。
- 虐待の類型は身体的虐待・介護等放棄(ネグレクト)・心理的虐待・性的虐待・経済的虐待の5つ。
- 虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は市町村へ通報する。生命・身体に重大な危険が生じている場合は通報が義務(それ以外は努力義務)で、通報は守秘義務違反にならない。
- 市町村は立入調査や養護者からの分離(やむを得ない事由による措置)を行うことができる。
- 背景には介護負担・社会的孤立・経済的困窮があることが多く、養護者への支援も法の目的に含まれる。
| ランク | 状態 |
|---|---|
| Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している |
| Ⅱ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる |
| Ⅲ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さがみられ、介護を必要とする |
| Ⅳ | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする |
| M | 著しい精神症状や周辺症状、あるいは重篤な身体疾患がみられ、専門医療を必要とする |
参考: 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査(令和元年度)」
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について