第111回 看護師国家試験 午後 問52 解説
📝 問題
加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 加齢に伴い心室壁が厚くなる。
加齢に伴い動脈壁の硬化(動脈硬化)により後負荷が増大し、それに対応して左心室壁は肥厚(求心性肥大の傾向)する。
他の選択肢は加齢変化の向きが逆である。 加齢では心臓の予備能が低下し、運動時の最大心拍数・心拍出量は増大ではなく減少する。 動脈硬化により収縮期血圧が上昇する一方、拡張期血圧はむしろ低下ないし不変で、その結果として脈圧(収縮期血圧−拡張期血圧)は狭小化ではなく増大(開大)する。
覚え方は加齢の循環器変化「動脈硬化→収縮期血圧↑・拡張期血圧↓→脈圧開大」「心室壁は肥厚」「運動時心拍出量↓」。 血圧は上が上がり下が下がると押さえる。
脈圧とは
収縮期血圧から拡張期血圧を引いた差。動脈が硬くなるほどこの差が大きくなる。
後負荷とは
心臓が血液を送り出すときに立ちはだかる抵抗。動脈が硬いほど大きくなり、心室の壁が厚くなる原因になる。
- 1
運動時の心拍出量が増大する。不正解
加齢で心予備能が低下し、運動時の心拍出量は減少する。増大しない。
- 2
拡張期血圧が上昇する。不正解
拡張期血圧はむしろ低下ないし不変。上昇するのは収縮期血圧である。
- 3
心室壁が厚くなる。正解
後負荷増大に対応して左心室壁が肥厚する。
- 4
脈圧が狭小化する。不正解
収縮期血圧上昇・拡張期血圧低下により脈圧は開大する。狭小化ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
加齢の循環器変化は、数値の向きと看護での注意点をセットで問われる。まず起立性低血圧の基準を数字で覚えよう。 高齢者では起立性低血圧(起立後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上低下)が起こりやすい。急に立ち上がらないよう指導し、降圧はゆっくり行う。
- 加齢に伴う循環器の変化=収縮期血圧↑・拡張期血圧↓→脈圧の開大、左心室壁の肥厚、最大心拍数・運動時心拍出量↓、洞結節の細胞減少で不整脈が増える、圧受容器反射の低下。
- 最大心拍数の目安は220−年齢。
- 高齢者に多い不整脈は心房細動で、心原性脳塞栓症の原因となるため抗凝固療法が検討される。
- 高齢者の高血圧は収縮期血圧だけが高い「収縮期高血圧」が多い。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について