第111回 看護師国家試験 午後 問21 解説
📝 問題
転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 転倒・転落リスクを高めるのは降圧薬である。
降圧薬は血圧を下げる作用から起立性低血圧やめまい・ふらつきを起こしやすく、とくに高齢者で転倒・転落のリスクを高める。 加えて利尿薬による頻尿、睡眠薬・向精神薬による筋弛緩・ふらつきなども転倒の代表的な薬剤要因である。
選択肢の他の薬は転倒リスクとの直接的な結びつきが弱い。抗凝固薬は転倒そのものを起こしやすくするわけではないが、転倒したときの出血(頭蓋内出血など)を重症化させる点で注意が必要である。気管支拡張薬・副腎皮質ステロイド薬は転倒の直接的な誘因とはいえない。 設問は「転倒リスクを高める薬」なので、ふらつき・低血圧を招く降圧薬が最も適切である。
国試では高齢者の転倒要因(内的:加齢による筋力・平衡機能低下、視力低下/外的:環境/薬剤:降圧薬・睡眠薬・向精神薬)が頻出である。 ポリファーマシー(多剤併用)も転倒リスクを高める。
起立性低血圧とは
立ち上がったときに血圧が下がり、めまいや立ちくらみが起こること。降圧薬や利尿薬で起こりやすい。
向精神薬とは
精神の働きに作用する薬の総称。抗精神病薬・抗不安薬・睡眠薬などが含まれる。
- 1
降圧薬正解
起立性低血圧やめまいを招き転倒リスクを高める薬である。
- 2
抗凝固薬不正解
抗凝固薬は転倒時の出血を重症化させるが、転倒そのものを起こしやすくする薬ではない。
- 3
気管支拡張薬不正解
気管支拡張薬は動悸等はあるが転倒の直接的誘因とはいえない。
- 4
副腎皮質ステロイド薬不正解
副腎皮質ステロイド薬は多様な副作用があるが転倒の直接要因ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
転倒歴のある高齢者は再転倒しやすく、転倒歴の聴取は最も重要なリスク評価の一つである。 高齢者は6剤以上の多剤併用で有害事象・転倒が増えるとされる。
- 内的要因=筋力低下、平衡機能・視力の低下、認知機能低下、起立性低血圧、頻尿・失禁、めまい。
- 外的要因=段差・敷居、コード類、滑りやすい床、暗い照明、合わない履物や杖、ベッドの高さ。
- 転倒すると大腿骨頸部骨折を起こしやすく、廃用症候群・寝たきりの契機になる。
- 予防=環境整備、筋力・バランス訓練、適切な履物、薬剤の見直し、排泄パターンに合わせた誘導。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について