第110回 看護師国家試験 午後 問120 解説
📝 問題
Aさん(88歳、男性)は脱水で入院した。入院から1週が経過し、Aさんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。Aさんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在のAさんの日常生活動作〈ADL〉は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して排泄している。 現在のAさんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 歩行が不安定で日常生活動作が低下した患者の退院支援では、理学療法士と介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携する。
Aさんは脱水こそ改善したが、立ち上がるときにふらつき、歩行が不安定でポータブルトイレを使っている。移動に関わる日常生活動作(ADL〈エーディーエル〉)が低下した状態である。 退院に向けては、身体機能を評価して歩行・移乗の訓練を行う理学療法士と連携する。あわせて、要介護認定にもとづくケアプランをつくり在宅生活を支える介護支援専門員(ケアマネジャー)とも連携する。
薬剤師と管理栄養士は服薬や栄養の管理を担う職種で、いまの課題である歩きにくさには直接届かない。 民生委員は地域の相談役で、リハビリテーションや介護保険サービスの調整を担う立場ではない。
退院支援の職種は、体をどう動かせるようにするかと、家でどう暮らせるようにするかの2つに分けて選ぶ。
民生委員とは
厚生労働大臣から委嘱される地域の相談役で、給与のない非常勤の特別職。住民の困りごとを聞き、行政や福祉のサービスにつなぐ。
ケアプランとは
どの介護サービスをいつ、どれだけ使うかを書いた計画書。介護支援専門員が本人と家族の希望を聞いて作る。
- 1
薬剤師不正解
薬剤師は服薬管理を担うが、歩行不安定・ADL低下という現在の課題に直接対応する職種ではない。
- 2
民生委員不正解
民生委員は地域の相談役だが、退院時のリハビリテーション・介護調整の中核ではない。
- 3
管理栄養士不正解
管理栄養士は栄養管理を担うが、現在の移動能力低下の課題には直結しない。
- 4
理学療法士正解
理学療法士は歩行・移乗の機能回復訓練と動作・環境の助言を行い、退院支援に不可欠。
- 5
介護支援専門員正解
介護支援専門員はケアプランを作成し介護保険サービスを調整して在宅生活を支える。
📚 どの職種が何をするか
多職種連携は、事例の困りごとに合う職種を選ばせる形で出る。職種名だけでなく「何をする人か」まで結びついていれば、事例の困りごとから逆引きできる。
- 介護保険の福祉用具貸与で、手すり・歩行器・車椅子・特殊寝台などを借りられる
- 住宅改修は手すりの取り付けや段差の解消が対象で、支給限度基準額は20万円
- 退院前カンファレンスで、病院と在宅の担当者が情報と方針を共有しておく
| 職種 | 役割 |
|---|---|
| 理学療法士(PT) | 起立・歩行・移乗など基本動作の訓練、住環境や福祉用具の助言 |
| 作業療法士(OT) | 食事・更衣・入浴など応用動作の訓練、自助具の選定 |
| 言語聴覚士(ST) | 摂食嚥下訓練、コミュニケーション訓練 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | ケアプランの作成と介護保険サービスの調整 |
| 医療ソーシャルワーカー(MSW) | 制度・経済的問題、転院や施設入所の相談 |
| 管理栄養士 | 栄養評価と食事指導 |
| 薬剤師 | 服薬管理・薬剤情報の提供 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について