第110回 看護師国家試験 午前 問71 解説
📝 問題
大規模災害発生後2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に出現する可能性が高い健康問題はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 災害から2か月後の仮設住宅では慢性疾患の悪化が生じやすい
災害発生から2か月が経過し、応急仮設住宅での生活を始めた時期(復旧期〜生活再建期)には、生活環境の変化・生活不活発・ストレス・受診の中断などにより、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の悪化が生じやすい。
他の選択肢は主に問題となる時期が異なる。消化器感染症は急性期の衛生環境の悪化によるもの、急性ストレス障害〈ASD〉は発災直後から数週間の反応、深部静脈血栓症〈DVT〉(エコノミークラス症候群)は車中泊や避難所で動けない状態が続く超急性期から急性期に多い。いずれも災害の早い時期に問題となるもので、2か月後の仮設住宅の時期に最も出現しやすいものとはいえない。
「急性期=外傷・感染・深部静脈血栓症・急性ストレス障害」「亜急性期以降=慢性疾患の悪化・生活不活発病・心的外傷後ストレス障害・心のケア」と時期ごとに整理しておくとよい。
生活不活発病とは
動く機会が減って体の働きそのものが落ちること。仮設住宅では買い物や畑仕事といった役割がなくなり、そこから進みやすい。
- 1
慢性疾患の悪化正解
仮設住宅期は生活環境の変化・受診中断・ストレスにより慢性疾患が悪化しやすい。
- 2
消化器感染症の発症不正解
消化器感染症は衛生環境が悪化する急性期に問題となりやすい。
- 3
深部静脈血栓症の発症不正解
深部静脈血栓症は車中泊などで不動が続く超急性期〜急性期に多い。
- 4
急性ストレス障害の発症不正解
急性ストレス障害は発災直後〜数週間の反応であり、2か月後は心的外傷後ストレス障害が問題となる時期に移る。
📚 国試でよく狙われるところ
災害時の健康問題は、別の時期の問題を混ぜて問われる。発災からの時間の流れに沿って、時期ごとに並べて覚えよう。 急性ストレス障害〈ASD〉は発災後3日〜1か月の間にみられる症状、心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉は症状が1か月以上続く場合をいう。
| 時期 | おおよその目安 | 主な健康問題・活動 |
|---|---|---|
| ①超急性期 | 発災〜48時間 | 外傷、圧挫(クラッシュ)症候群、低体温、トリアージと救命 |
| ②急性期 | 〜1週間 | 避難所の感染症(消化器・呼吸器)、深部静脈血栓症、急性ストレス障害、慢性疾患の服薬中断 |
| ③亜急性期 | 〜1か月 | 生活不活発病、便秘・不眠、感染症の集団発生、こころのケア |
| ④慢性期(復旧・復興期) | 1か月〜 | 慢性疾患の悪化、生活不活発病・廃用症候群、心的外傷後ストレス障害、閉じこもり・孤立、アルコール問題 |
| ⑤静穏期(準備期) | 次の災害まで | 防災訓練、備蓄、災害看護教育、要配慮者の把握 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について