第110回 看護師国家試験 午前 問62 解説
📝 問題
選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ SSRIはパニック障害に対して有効である
選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉は、うつ病・うつ状態のほか、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD〈ピーティーエスディー〉)など不安障害圏の治療に広く用いられる。パニック障害では第一選択薬に位置づけられる。
他の選択肢はSSRIの特徴と反する。SSRIはセロトニンの再取り込みだけを妨げるため、三環系抗うつ薬に比べて抗コリン作用(口渇・便秘・排尿障害など)や心毒性が少ない。うつ症状が改善しても再発予防のため一定期間(数か月以上)は服薬を続け、急な中止は中断症状(めまい・不安・感覚異常など)を招くので少しずつ減らす。抗うつ効果が出るまでには通常2〜4週間かかり、開始後3日以内では評価できない。
「SSRI=不安障害にも有効・抗コリン作用は弱い・効果発現は数週間・中止は漸減」と整理しておくとよい。
抗コリン作用とは
アセチルコリンの働きをさえぎる作用。胃薬や鎮痙薬では狙って使うが、抗うつ薬では副作用として現れる。
中断症状とは
薬を急にやめたときに数日から数週間だけ出る体の反応。依存とは異なり、少しずつ減らせば避けられる。
- 1
パニック障害に対して有効である。正解
SSRIはうつ病だけでなくパニック障害など不安障害にも有効で、パニック障害の第一選択薬である。
- 2
抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも強い。不正解
SSRIは選択性が高く、抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも弱い。
- 3
うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する。不正解
症状改善後も再発予防のため一定期間継続し、中止時は中断症状を避けるため漸減する。
- 4
抗うつ効果の評価は使用開始後3日以内に行う。不正解
抗うつ効果の発現には通常2〜4週間を要し、開始後3日以内での評価は適切でない。
📚 混同しやすいので注意
抗うつ薬は、ある薬の副作用を別の薬のものとして示す形で問われる。薬の名前から副作用がすぐ出てくるようにしておこう。 世代が違っても、効果発現に2〜4週間かかる点と、急な中止を避けて漸減する点は共通である。
- SSRI=セロトニンのみに作用。投与初期に悪心・下痢が出やすい。併用時はセロトニン症候群(発熱・振戦・ミオクローヌス・興奮)に注意
- SNRI=セロトニン+ノルアドレナリン。血圧上昇・排尿障害に注意
- NaSSA(ミルタザピン)=眠気・体重増加が多い
- 三環系抗うつ薬=抗コリン作用(口渇・便秘・排尿障害・眼圧上昇)と心毒性が強く、過量服薬が危険
- 投与初期や増量時のアクチベーション症候群(不安・焦燥・衝動性)と、若年者の自殺関連事象に注意する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について