第110回 看護師国家試験 午前 問30 解説

一般健康支援と社会保障制度✔ 監修済み

📝 問題

食中毒予防の原則である「中心温度75℃以上1分以上の加熱」が有効なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 「中心温度75℃以上1分以上の加熱」が有効なのはサルモネラ属菌である。

食中毒予防三原則の「加熱」の目安である中心温度75℃以上・1分以上の加熱で死滅させられるのは、細菌そのものが原因となる感染型食中毒であり、選択肢のなかではサルモネラ属菌が該当する。多くの食中毒菌は十分な加熱で死滅する。

他の選択肢は加熱で防げない。フグ毒(テトロドトキシン)・毒キノコの毒素は熱に安定で、加熱では無毒化されない。 黄色ブドウ球菌は菌自体は加熱で死滅するが、増殖のときに作られる毒素(エンテロトキシン)が耐熱性で加熱しても分解されないため、加熱による予防は有効といえない。 「毒素型のうち黄色ブドウ球菌の毒素や自然毒は加熱無効」「感染型(サルモネラ・カンピロバクター等)は加熱有効」という整理が国試頻出である。

中心温度とは

食品のいちばん火の通りにくい中心部の温度。表面が焦げていても中心が上がらなければ菌は死なない。

テトロドトキシンとは

フグの卵巣や肝臓に多く含まれる神経毒。口や手足のしびれから始まり、進むと呼吸に使う筋が動かなくなる。

  • 1

    フグ毒不正解

    フグ毒(テトロドトキシン)は耐熱性で加熱では無毒化されない。

  • 2

    毒キノコ不正解

    毒キノコの毒素は熱に安定で加熱では防げない。

  • 3

    黄色ブドウ球菌不正解

    黄色ブドウ球菌の産生する毒素は耐熱性で加熱しても分解されない。

  • 4

    サルモネラ属菌正解

    サルモネラ属菌は感染型で、十分な加熱により死滅させられる。

📚 国試でよく狙われるところ

食中毒は原因物質と「加熱が効くかどうか」を組み合わせて出される。型で覚えれば個別に暗記しなくてよい。 予防の三原則はつけない(清潔)・増やさない(迅速・冷却)・やっつける(加熱)である。

  • ボツリヌス菌の芽胞は耐熱性で、1歳未満の乳児にはちみつを与えない(乳児ボツリヌス症)。
  • 腸管出血性大腸菌(O157など)は少量の菌で発症し、溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併しうる。
  • カンピロバクターは鶏肉の生食が原因となり、まれにギラン・バレー症候群を続発する。
食中毒の型と加熱の有効性
型代表的な原因加熱の効果
感染型サルモネラ属菌・カンピロバクター・腸炎ビブリオ十分な加熱が有効
生体内毒素型腸管出血性大腸菌・ウエルシュ菌加熱で菌は死滅する
毒素型黄色ブドウ球菌・セレウス菌(嘔吐型)毒素が耐熱性で加熱は無効
自然毒フグ毒(テトロドトキシン)・毒キノコ加熱は無効
ウイルスノロウイルス85〜90℃で90秒以上の加熱が必要

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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