第109回 看護師国家試験 午後 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 A さん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前から A さんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、A さんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、A さんはアルコール依存症と診断された。 入院後3日までに A さんに出現する可能性が高い症状はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ アルコール離脱症状として、幻覚と振戦が出現しやすい。
アルコール依存症の人が飲酒をやめると、離脱症状が現れる。 Aさんも入院で飲酒が中断している。 飲酒の中断から数時間〜3日ごろに、手指の振戦、発汗、頻脈、不眠、不安、けいれん、幻覚(振戦せん妄では幻視)などがみられる。 入院後3日までは、この幻覚と振戦が出やすい時期にあたる。
他の3つは、アルコール離脱では起こりにくい症状である。 観念奔逸は躁状態、緘黙は統合失調症や解離、強迫症状は強迫症でみられる。 離脱症状は、断酒からの時期と症状の組合せで問われる。
観念奔逸とは
次々に考えが浮かんで話題があちこちに飛び、話がまとまらない状態。躁状態でみられる。
緘黙とは
話す力はあるのに、話さなくなる・話せなくなる状態。
- 1
観念奔逸不正解
観念奔逸は躁状態の症状で、アルコール離脱の典型症状ではない。
- 2
緘黙不正解
緘黙は統合失調症・解離などでみられ、アルコール離脱の症状ではない。
- 3
強迫症状不正解
強迫症状は強迫症などの症状で、アルコール離脱の典型ではない。
- 4
幻覚正解
アルコール離脱では幻覚(特に幻視)がみられ、出現する可能性が高い。
- 5
振戦正解
手指の振戦は離脱の代表的症状で、断酒後早期に出現しやすい。
📚 関連知識
| 時期 | 主な症状 |
|---|---|
| ①断酒後6〜24時間(早期離脱) | 手指振戦、発汗、頻脈、血圧上昇、不安、不眠、悪心・嘔吐 |
| ②断酒後24〜48時間 | けいれん発作(全般性強直間代発作)が起こりやすい |
| ③断酒後72〜96時間(後期離脱) | 振戦せん妄:意識混濁、著明な振戦、小動物幻視、興奮、発熱・発汗などの自律神経症状 |
離脱期はベンゾジアゼピン系薬による置換、ビタミンB1(チアミン)の補給(Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症の予防)、輸液と電解質管理を行い、静かで明るすぎない環境を整える。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について