第109回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
成人の気管内吸引の方法で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 気管内吸引の前には咽頭部(口腔・鼻腔)の分泌物を吸引しておく。
成人の気管内吸引では、気管吸引に先立って咽頭部(口腔・鼻腔)にたまった分泌物を吸引しておくことが適切である。上気道の分泌物を先に除去しておくことで、吸引時のカフ上部からの垂れ込みや誤嚥を防ぎ、清潔な操作につながる。 「実施前に咽頭部の分泌物を吸引する」が正しい。
吸引圧は成人でおおむね-20 kPa(150 mmHg)程度とし、-40 kPa(300 mmHg)は高すぎて気道粘膜損傷を招く。吸引カテーテルは気管チューブ内径の1/2以下の太さを選ぶ(同じ内径では換気を妨げる)。1回の吸引による低酸素を防ぐため、カテーテル挿入から吸引終了までは10〜15秒程度で短く行い、30秒は長すぎる。カテーテルは気管分岐部に当たらない位置までとし、深く挿入しすぎない。
カフとは
気管チューブの先についた小さな風船。ふくらませて気管の壁とのすきまをふさぎ、空気もれや分泌物の垂れ込みを防ぐ。
- 1
実施前に咽頭部の分泌物を吸引する。正解
気管吸引の前に咽頭部の分泌物を除去しておくと、誤嚥や垂れ込みを防げる。
- 2
吸引圧は -40 kPa(300 mmHg)に調整する。不正解
-40 kPa(300 mmHg)は高すぎて粘膜損傷を招く。成人は約-20 kPa(150 mmHg)とする。
- 3
気管チューブと同じ内径のカテーテルを用いる。不正解
同じ内径では換気を妨げる。カテーテルは気管チューブ内径の1/2以下を用いる。
- 4
カテーテルの挿入開始から終了まで30秒で行う。不正解
低酸素予防のため吸引は10〜15秒程度で行い、30秒は長すぎる。
- 5
カテーテルは気管分岐部より深い位置まで挿入する。不正解
気管分岐部より深く挿入すると粘膜損傷や刺激を招くため不適切である。
📚 国試でよく狙われるところ
気管吸引は、吸引圧・吸引時間・カテーテルの太さの数値を入れ替えて問われる。「短く・低めの圧で・細めのカテーテルで」と1組で覚えよう。 吸引は必要なときに行うもので、時間を決めたルーチンの吸引は行わない。副雑音・SpO2の低下・呼吸努力の増大などを指標に判断する。
- 吸引圧は成人で-20 kPa(150 mmHg)程度までとする。
- 陰圧をかける時間は10〜15秒以内とし、挿入から終了まで短時間で行う。
- 吸引カテーテルの外径は気管チューブ内径の1/2以下を目安に選ぶ(太いと換気が妨げられる)。
- 低酸素予防のため、必要に応じて吸引の前後に高濃度酸素を投与し、十分な換気を行う。
- 実施中はSpO2・心拍数・不整脈・顔色・表情を観察し、異常があればただちに中止する。
| 合併症 | 主な原因 |
|---|---|
| 低酸素血症 | 吸引時間の延長、換気の中断 |
| 気道粘膜の損傷・出血 | 吸引圧が高い、カテーテルを深く入れすぎる |
| 徐脈・不整脈 | 迷走神経反射、低酸素 |
| 気管支攣縮・咳嗽 | 気道への機械的刺激 |
| 感染 | 不潔操作、回路や吸引器具の管理不良 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について