第108回 看護師国家試験 午前 問50 解説
📝 問題
高カリウム血症の患者でみられるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 高カリウム血症では、心電図でテント状の高いT波(T波増高)がみられる。
高カリウム血症では細胞外のカリウム濃度が上がって心筋の電気活動が変わり、心電図にテント状の高いT波(T波増高)が特徴的に現れる。 進行するとQRS幅の延長やP波の消失、致死性不整脈をきたす。
他の3つは、高カリウム血症を示す所見とはいえない。 トルソー徴候は低カルシウム血症の所見である。腸蠕動音の低下はむしろ低カリウム血症で起こる。四肢の麻痺は原因が多く特徴的とはいえず、高カリウム血症でみられるのはしびれや筋力低下である。
トルソー徴候とは
上腕を血圧計のマンシェットで圧迫すると、手指が硬直して縮こまる所見。低カルシウム血症でみられる。
- 1
Trousseau〈トルソー〉徴候不正解
トルソー徴候は低カルシウム血症でみられる所見であり、高カリウム血症の特徴ではない。
- 2
心電図でのT波の増高正解
高カリウム血症では心電図でテント状のT波増高がみられる。
- 3
腸蠕動音の低下不正解
腸蠕動音の低下は主に低カリウム血症でみられ、高カリウム血症の特徴ではない。
- 4
四肢の麻痺不正解
四肢の麻痺は高カリウム血症に特異的な所見ではなく、代表的徴候として不適切である。
📚 混同しやすいので注意
カリウムの異常は、高値と低値の症状・心電図所見を入れ替えて問われる。心電図の変化と症状を対にして覚えよう。 血清カリウムの基準値は約3.5〜5.0mEq/Lで、細胞内外の分布と腎からの排泄で調節される。
- カリウム製剤は原液で静脈内注射しない(心停止を招く)。必ず希釈し、緩徐に投与する。
- 溶血した検体では見かけ上の高値となるため、採血手技にも注意する。
- 腎不全では高カリウム血症をきたしやすく、生野菜・果物・いもの摂取について指導する。
| 項目 | 高カリウム血症 | 低カリウム血症 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 腎不全、アシドーシス、カリウム保持性利尿薬、細胞崩壊(挫滅・溶血・腫瘍崩壊) | 嘔吐・下痢、ループ/サイアザイド利尿薬、原発性アルドステロン症、インスリン投与 |
| 心電図 | テント状T波、P波の平低化・消失、QRS幅延長、心室細動 | U波の出現、ST低下、T波の平低化、期外収縮 |
| 主な症状 | 四肢のしびれ、筋力低下、徐脈・不整脈 | 脱力・筋力低下、腸蠕動低下(麻痺性イレウス)、多尿 |
| 主な治療 | カルシウム製剤、グルコース・インスリン療法、陽イオン交換樹脂、透析 | カリウムの補充(点滴は必ず希釈し緩徐に) |
参考: 系統看護学講座 電解質異常(高カリウム血症の心電図)/内科学(カリウム代謝異常)
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について