第108回 看護師国家試験 午前 問31 解説
📝 問題
手の写真(別冊No. 1)を別に示す。 写真の斜線部分で、正中神経の圧迫によって知覚異常を生じる部位を示しているのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 正中神経が圧迫されると、母指・示指・中指と環指の橈側半分の掌側に知覚異常が生じる。
正中神経は手根管を通って手のひらに出て、母指・示指・中指と環指の橈側半分の掌側の知覚を担う。 手根管症候群では、この範囲にしびれや知覚の異常が出る。
小指と環指の尺側は尺骨神経、手背の橈側は橈骨神経が支配する。しびれの出ている場所から、障害された神経を見分けられる。
手根管とは
手首の手のひら側にある、骨と靱帯で囲まれたトンネル。正中神経と、指を曲げる腱が通る。
- 1
A不正解
正中神経が知覚を支配する範囲とは一致しない部位である。
- 2
B不正解
正中神経が知覚を支配する範囲とは一致しない部位である。
- 3
C正解
母指・示指・中指と環指の橈側半分の掌側という正中神経の知覚支配領域にあたり、手根管症候群でしびれが出る部位である。
- 4
D不正解
正中神経が知覚を支配する範囲とは一致しない部位である。
📚 これとセットで理解しよう
上肢の末梢神経は、「知覚支配領域」「代表的な絞扼部位」「特徴的な変形」の3つを1組にして覚える。この3点がそろうと、写真や図の問題にも対応できる。
- 手根管症候群は妊娠・透析・関節リウマチ・甲状腺機能低下症などで生じやすく、夜間から明け方のしびれが特徴である。
- 誘発試験には、手首を曲げて保つPhalen(ファレン)テストと、手首を叩くTinel(チネル)徴候がある。
- 上腕骨顆上骨折(小児)では正中神経麻痺やVolkmann〈フォルクマン〉拘縮に注意する。
| 神経 | 手の知覚支配 | 代表的な障害 | 運動障害・変形 |
|---|---|---|---|
| 正中神経 | 母指〜中指と環指橈側の掌側 | 手根管症候群 | 猿手、母指対立障害 |
| 尺骨神経 | 小指と環指の尺側 | 肘部管症候群、Guyon〈ギヨン〉管症候群 | 鷲手、骨間筋の萎縮 |
| 橈骨神経 | 手背の橈側(母指〜中指の基部) | 上腕骨骨幹部骨折、圧迫による麻痺 | 下垂手、手関節の背屈不能 |
参考: 系統看護学講座 解剖生理学(末梢神経の支配領域)/手根管症候群の診療ガイドライン
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について