第108回 看護師国家試験 午前 問104 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15,000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。 Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ γ-グロブリン製剤投与中に膨隆疹・喘鳴・口唇チアノーゼが出現しており、アレルギー反応(アナフィラキシー)が最も考えられる。

点滴開始10分後という短い時間で、全身のかゆみを伴う膨隆疹(蕁麻疹)、喘鳴(気道狭窄)、口唇のチアノーゼが出ている。 直前に始めたγ-グロブリン製剤に対する即時型アレルギー反応で、皮膚と呼吸器の症状がそろう重篤なアナフィラキシーである。 ただちに投与を中止し、救急対応に移る。

他の3つでは、皮膚・呼吸・循環の症状が同時に出たことを説明できない。 イレウスは腸の内容が通らなくなる状態、クループ症候群は吸気時の喘鳴と犬吠様の咳が主で、どちらも全身の蕁麻疹を伴わない。 心臓超音波検査で冠動脈に異常はなく、1歳児の心筋梗塞は考えにくい。

γ-グロブリン製剤とは

人の血液から作った抗体(免疫グロブリン)の製剤。川崎病では大量に点滴し、血管の炎症をしずめる。

  • 1

    イレウス不正解

    イレウス(腸閉塞)では全身の膨隆疹や喘鳴・口唇チアノーゼは説明できず、この状態には該当しない。

  • 2

    心筋梗塞不正解

    心臓超音波で冠動脈瘤はなく、1歳児で膨隆疹・喘鳴を伴う心筋梗塞は考えにくい。

  • 3

    アレルギー反応正解

    γ-グロブリン点滴開始直後の全身膨隆疹・喘鳴・口唇チアノーゼは、即時型アレルギー反応(アナフィラキシー)である。

  • 4

    クループ症候群不正解

    クループ症候群は吸気性喘鳴と犬吠様咳嗽が特徴で、全身の蕁麻疹は伴わず、この病態には合わない。

📚 ここも一緒におさえておこう

アナフィラキシーの第一選択薬はアドレナリンで、0.01mg/kg(成人は0.3〜0.5mg)を大腿前外側の筋肉内に注射する。 抗ヒスタミン薬やステロイドは補助的で、初期対応の代わりにはならない。

  • ただちに原因薬剤の投与を中止し、応援を呼び、仰臥位で下肢を挙上する(呼吸困難があれば上半身挙上、嘔吐があれば側臥位)
  • 急に立ち上がらせたり座らせたりすると静脈還流が減り、急変することがある
  • 症状がいったん改善しても数時間後に再燃する二相性反応があるため、経過観察を続ける
  • 皮膚・粘膜症状に加え、呼吸器(喘鳴・呼吸困難)、循環器(血圧低下)、消化器(腹痛・嘔吐)のいずれかが急速に出現したらアナフィラキシーを疑う

参考: 日本アレルギー学会『アナフィラキシーガイドライン』/医療情報科学研究所編『病気がみえる 小児科』

出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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