第106回 看護師国家試験 午後 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aちゃん(11歳、女児)。眼瞼浮腫がみられたため、眼科を受診し治療を受けたが改善しなかった。その後、Aちゃんと母親が下腿の浮腫に気付き眼科の医師に相談したところ、特発性ネフローゼ症候群を疑われたため、小児科のある病院を紹介され受診した。 看護師が収集すべきAちゃんの情報で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 収集する情報として優先度が高いのは食欲である。
ネフローゼ症候群では、尿へ蛋白が大量に漏れて血液中のアルブミンが減る(低アルブミン血症)。血管の中に水を保てなくなり、水が組織へ移って、まぶたから下腿、やがて全身へ広がる浮腫になる。 浮腫は腸の壁にも起こるため、食欲の低下や腹痛、吐き気が現れる。食欲は、浮腫がどこまで及んでいるかと、栄養や水分をとれているかを同時に確かめられる情報である。
残る4つは、いま治療の方針を決めるうえで急がない。家族歴・手術歴・海外渡航歴は別の病気を疑うときにたどる情報で、初経の発来は成長を評価するときに確かめる。
特発性ネフローゼ症候群とは
はっきりした原因が見つからないネフローゼ症候群。小児のネフローゼの大半を占め、ステロイドがよく効くのが特徴。
- 1
食欲正解
腸の壁がむくむと食欲が落ち、腹痛や吐き気も出る。全身の状態と栄養のとれ方を同時につかめる情報である。
- 2
家族歴不正解
家族歴は遺伝性の腎疾患を疑うときにたどる情報。小児に多い特発性ネフローゼ症候群では、まず確かめる情報にならない。
- 3
手術歴不正解
手術歴は麻酔や手術に関わる場面で確かめる情報。今回の浮腫の経過とは結びつかない。
- 4
海外渡航歴不正解
海外渡航歴は感染症を疑うときに確かめる情報。まぶたから始まる浮腫の説明にはならない。
- 5
初経の発来の有無不正解
初経の発来は11歳の女児では成長の評価に使う情報。浮腫の原因を調べるうえでは急がない。
📚 国試でよく狙われるところ
小児のネフローゼ症候群は、診断に使う所見が組でそのまま問われる。蛋白が漏れる→アルブミンが減る→むくむ、という順で結びつけよう。
- 診断の柱は高度の蛋白尿と低アルブミン血症。これに浮腫と高コレステロール血症が加わる
- 小児では微小変化型が大半で、ステロイドがよく効く。多くは治療の開始から1〜2週間で尿蛋白が消える(4週間以内に消えるものをステロイド感受性とよぶ)
- 浮腫が強い時期は感染と血栓に注意する。免疫グロブリンも尿へ失われ、血管の中の水が減って血液が濃くなる
参考: 小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン/医療情報科学研究所編『病気がみえる 小児科』関連資料
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について