第106回 看護師国家試験 午後 問72 解説
📝 問題
放射線療法に関わる看護師の健康管理に必要なのはどれか。
✅ 正解
1・3・5
⚖️ 出題時に複数の選択肢が正解と認められた「複数正解(救済)」問題です。いずれか一つを選べば正解とされました。
💡 解説
✅ 個人被ばく線量計の装着、防護用ゴーグルの着用、鉛を含んだエプロンの着用のいずれも正答として扱われた。
放射線を扱う場所で働く看護師の健康管理は、受けた線量を測ることと、受ける線量を減らすことの2つで成り立つ。
測るのが個人被ばく線量計で、胸や腹に着けて日々の被ばくを記録し、決められた線量限度を超えていないか確かめる。 減らすのが遮蔽で、鉛を入れた防護衣(エプロン)は体を、防護用ゴーグルは眼の水晶体を守る。
放射線療法には、体の外から当てる外部照射と、線源を体の中や表面に置く密封小線源治療がある。放射線を出す線源や装置の近くで働く場面では、距離と時間の管理に加えて遮蔽で被ばくを減らす。 眼の水晶体が受けてよい線量の上限は、この試験のあと2021年に引き下げられ、いまは体全体の限度と同じ水準になっている。
測る道具と守る道具のどちらも必要なため、3つとも正答として扱われた。
密封小線源治療とは
放射線を出す小さな線源を体の中や表面に置き、患部だけに放射線を当てる治療。線源のそばで働く医療者は遮蔽と作業時間の短縮で身を守る。
- 1
線量計を装着する。正解
個人被ばく線量計を着けて日々の被ばくを記録し、線量限度を超えていないか確かめる。放射線業務に従事する人に義務づけられている。
- 2
ヨウ素剤を服用する。不正解
安定ヨウ素剤は、原子力災害で放射性ヨウ素を吸い込んだときに甲状腺への取り込みを防ぐために飲む薬である。日常の放射線業務では使わない。
- 3
ゴーグルを着用する。正解
鉛入りの防護用ゴーグルは眼の水晶体の被ばくを減らす。水晶体は放射線に弱く、被ばくが重なると白内障を起こす。
- 4
N95マスクを着用する。不正解
N95マスクは結核などの空気感染を防ぐための道具で、放射線は通り抜けてしまう。
- 5
鉛を含んだエプロンを着用する。正解
鉛は放射線を通しにくいため、鉛入りの防護衣は体幹への被ばくを減らす。線源のそばで作業するときに着用する。
📚 国試でよく狙われるところ
放射線防護は、線量限度の数字と「距離・時間・遮蔽」の3原則が問われる。数字は年数とセットで覚えよう。
- 被ばくを減らす3原則は距離・時間・遮蔽。線源から離れ、作業時間を短くし、間に鉛などの遮蔽物を置く
- 放射線業務に従事する人の実効線量限度は5年間で100mSv、かつ1年間で50mSv
- 眼の水晶体の等価線量限度も5年間で100mSv、かつ1年間で50mSvで、実効線量と同じ水準に定められている
- 妊娠する可能性のある女性は3か月で5mSv、妊娠が分かってから出産までは腹部表面で2mSvと、より厳しい限度になる
参考: 電離放射線障害防止規則/厚生労働省「電離放射線障害防止規則の一部改正(眼の水晶体の被ばく限度の見直し)」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について