第106回 看護師国家試験 午後 問60 解説

一般在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(55歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。進行性の多発性硬化症で在宅療養をしている。脊髄系の症状が主で、両下肢の麻痺、膀胱直腸障害および尿閉がある。最近は座位の保持が難しく、疲れやすくなってきている。排尿はセルフカテーテルを使用してAさんが自己導尿を行い、排便は訪問看護師が浣腸を行っている。夫は仕事のため日中は不在である。Aさんの身体状態に合わせた療養生活で適切なのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 入浴は湯につからずシャワー浴とするのが適切である。

多発性硬化症では、体温が上がると症状が一時的に強くなるUhthoff(ウートフ)徴候がみられる。 入浴・発熱・暑い環境が引き金になる。 湯船につかると体温が上がるので、シャワー浴にして湯温もぬるめにすると、脱力やしびれの悪化を避けられる。

Aさんは座位を保ちにくく疲れやすいうえ、夫が仕事に出ている日中は1人で過ごす。 自分で操作できる移動手段と、清潔に保管できる自己導尿の物品をそろえておく。 過労と感染は再発の引き金になるので、休息をはさみながら生活を組み立てる。

Uhthoff(ウートフ)徴候とは

体温が上がったときに症状が一時的に強まり、体温が下がると元に戻る現象。多発性硬化症でみられる。

  • 1

    入浴はシャワー浴とする。正解

    湯につかると体温が上がって症状が強まる。シャワー浴なら体温の上昇を抑えられ、座位を保ちにくい状態でも短時間ですむ。

  • 2

    介助型の車椅子を利用する。不正解

    介助型は介助者が押して動かす車椅子で、日中1人になるAさんは自分で移動できない。自分で操作できる車椅子を選ぶ。

  • 3

    ベッドの高さは最低の位置で固定する。不正解

    ベッドの高さは、移乗のときは足底が床につく高さ、ケアのときは介助者に合わせた高さと変えられるほうがよい。最低の位置で固定すると立ち上がりにくくなる。

  • 4

    セルフカテーテルはトイレに保管する。不正解

    トイレは湿気が多く汚染されやすい。カテーテルは清潔で乾いた場所に保管する。

📚 ここも一緒におさえておこう

多発性硬化症は、症状そのものより「何が再発や悪化の引き金になるか」が看護の場面で問われる。体温・疲労・感染の3つを避ける、と束ねて覚えよう。

  • 中枢神経のあちこちに炎症が起き、時間をおいて別の場所に症状が出る(時間的・空間的多発)のが特徴
  • 視神経炎による視力低下、しびれ、脱力、膀胱直腸障害が代表的な症状
  • 尿閉があるときは自己導尿で残尿をためないようにし、尿路感染を防ぐ
  • 疲れやすさに合わせて活動と休息を組み合わせることが、在宅療養を続ける軸になる

参考: 日本神経学会「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン」/医学書院「系統看護学講座 在宅看護論」

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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