第106回 看護師国家試験 午後 問47 解説
📝 問題
高齢者施設に入所中のAさん(78歳、女性)は、長期間寝たきり状態で、便秘傾向のため下剤を内服している。下腹部痛と便意を訴えるが3日以上排便がなく、浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄されることが数回続いている。既往歴に、消化管の疾患や痔はない。Aさんの今後の排便に対する看護として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 直腸に硬い便塊がたまっていないかを確かめることが最も適切である。
3日以上排便がないのに、浣腸をすると短く硬い便塊が出たあと多量の軟便が続く。 直腸にたまった硬い便が栓になり、そのすき間を上流の軟らかい便がすり抜けている状態で、下痢ではなく溢流性便失禁という。
まず直腸診で便塊があるかを確かめ、あれば摘便で取り除くのが先になる。 栓が外れないかぎり、下剤を足しても食事を変えても同じことがくり返される。 長期の寝たきりと下剤への依存は、どちらも便塊がたまる背景になる。
摘便とは
指を肛門から入れて、直腸にたまった硬い便をかき出す処置。潤滑剤を使い、粘膜を傷つけないよう医師の指示のもとで行う。
- 1
直腸の便塊の有無を確認する。正解
硬い便塊が直腸をふさいでいないかを確かめ、あれば取り除くことが、その後の排便ケアの出発点になる。
- 2
止痢薬の処方を医師に依頼する。不正解
止痢薬は腸の動きを抑える薬で、残った便塊がさらに硬くなる。出ている軟便は下痢ではない。
- 3
1日の水分摂取量を800mL程度とする。不正解
800mLは高齢者の1日の水分量として少なく、便はさらに硬くなる。便秘ではむしろ水分を増やす。
- 4
食物繊維の少ない食事への変更を提案する。不正解
食物繊維は便のかさを増やして腸を動かす。減らすのではなく、便塊を取り除いたうえで増やしていく。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者の便秘は、見た目の症状から原因を取り違えると逆の対応をしてしまう。「下痢のように見えても、まず直腸を診る」と結びつけて覚えよう。
- 長期の寝たきりでは腸の動きと腹圧が弱まり、弛緩性便秘になりやすい
- 刺激性下剤は使い続けると効きにくくなる。水分・食物繊維・活動量・決まった時間の排便習慣を先に整える
- 腹部膨満に嘔吐や排ガスの停止が加わったときは腸閉塞を疑い、浣腸や下剤を行わずに報告する
参考: 医学書院「系統看護学講座 老年看護学」/系統看護学講座 基礎看護学 排泄の援助
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について